【動脈硬化と腸内環境には意外なかかわりが…】血管を若く保つための腸活5選[医師監修]
「腸活はお腹の調子を整えるためだけ」と思っていませんか? 近年の研究では、腸内細菌がつくる代謝物と動脈硬化との関係にも注目が集まっています。動脈硬化は自覚症状が乏しいまま進むことがあるからこそ、毎日の習慣を見直して防ぐことが大切です。動脈硬化と腸内環境の関係や、今日からできる腸活の方法を紹介します。
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1.動脈硬化はなぜ起こる?
動脈硬化とは、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして、血管の弾力性が失われていく状態のことです。
LDLコレステロールなどが血管の内膜に入り込むと、プラークとして蓄積します。プラークが大きくなれば血管が狭くなり、破綻して血栓ができると心筋梗塞や脳梗塞につながることも。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や、喫煙などの生活習慣によって血管がダメージを受けると、動脈硬化のリスクは高まります。
2.動脈硬化と腸内環境の関係とは?
腸と血管の関係で知っておきたいのが、腸内細菌が生み出す代謝物「TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)」です。卵や牛肉、チーズなどに含まれるホスファチジルコリンという物質が消化管内でコリンに代謝され、そのコリンが腸内細菌によって代謝されることで最終的にTMAOへ変換されます。TMAOが血液中に増えると動脈硬化が起きやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まると考えられています。
3.動脈硬化につながる意外な腸のトラブルって?
動脈硬化につながる要因は、TMAOだけではありません。実は、便秘によって高血圧が起き、結果的に動脈硬化につながることがあります。例えば、排便時に強く長くいきむと血圧が上がり、心臓や血管に負担がかかります。これにより、血管がダメージを受けやすくなるのです。便秘は食生活の偏りや水分不足、ストレスなどさまざまな要因で起こります。便秘を防ぐためにも、生活習慣全体を見直して腸内環境を整えましょう。
4.動脈硬化対策に効果的な腸活5選
腸活を行ううえで大切なのは続けやすさです。食生活や運動などの習慣を見直し、無理なく続けられる腸活を紹介します。
①地中海食をとり入れる
地中海食はギリシャなどの地中海沿岸の地域で親しまれてきた伝統料理。野菜や豆類、全粒穀物、魚介類、ナッツ、オリーブオイルなどをよく使うのが特徴です。食物繊維が豊富な食材をとりやすいほか、オリーブオイルなどからは血中のLDLコレステロールを減らす働きのある不飽和脂肪酸が摂取できます。これにより、腸内環境を整えつつ血管の健康を保つことにもつながります。
いきなり献立をすべて変える必要はありません。例えば、ランチの白いパンを全粒粉パンに替え、夕食の肉料理を週に何度か魚料理にする、サラダに豆を加えるなどの工夫をしてみましょう。
②善玉菌を含む食材をとる
善玉菌を含む食材をとり、腸内の善玉菌を増やすことも効果的。腸内の善玉菌が増えると、脂肪の蓄積を抑制するなどの働きがある短鎖脂肪酸がつくられやすくなります。肥満や生活習慣病、そして動脈硬化の予防にもつながります。
ポイントは、善玉菌を含む食品だけでなく、そのエサになる食物繊維やオリゴ糖も一緒に意識すること。朝食にヨーグルトと果物を組み合わせたり、納豆に海藻や野菜のおかずを合わせたりすると日常の食卓で続けやすくなります。
③排便リズムを整える
排便リズムを整えて便秘を予防・改善することも大切。排便は生活リズムの影響も受けます。
朝起きたらコップ1杯の水を飲んで腸を刺激する、便意がなくても朝食後に数分トイレに座るといった習慣をつくりましょう。毎日の習慣にし「この時間に排便する」と体に記憶させることで排便リズムが整いやすくなります。
ただし、長時間座って強くいきむのは逆効果。食物繊維や水分も意識しながら、力まず出せる排便リズムを目指しましょう。
④適度に運動する
運動は腸活だけでなく、動脈硬化対策にも役立つ習慣です。特に、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動は腸周辺の筋肉を動かしてぜん動運動を促したり、全身の血流をよくしたりする効果が期待できます。
忙しい日は、まとまった運動時間を確保しなくてもかまいません。通勤時にひと駅分歩く、昼休みに10分散歩する、帰宅後に軽いストレッチをするなど、細切れでも体を動かす時間を増やしましょう。
⑤サプリメントを活用する
忙しくてなかなかセルフケアが続かないと感じるときは、乳酸菌やビフィズス菌、食物繊維、オリゴ糖などを含むサプリメントを補助的に使う選択肢もあります。サプリメントは飲むだけでいいため、セルフケアとして続けやすいのが特徴です。
ただし、サプリメントはあくまで補助的なもの。成分や摂取目安量などを確認し、適切にとりましょう。服薬中の人や持病がある人は、自己判断で併用せず医師や薬剤師に相談することが大切です。食事や生活習慣の見直しをしつつ、そのうえで専門家の力も借りながら不足しがちな成分をサプリメントで補って腸内環境を整えましょう。
【動脈硬化と腸活に関するQ&A】
Q.動脈硬化を放置するとどうなりますか?
動脈硬化が進むと血管が狭くなったり詰まったりし、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気につながる可能性があります。自覚症状がなくても、健康診断などで血圧や血糖値、LDLコレステロール値などの異常を指摘されたら放置しないことが大切です。
Q.動脈硬化を招きやすいNG習慣はありますか?
高カロリーな食事や糖分の多い食事、食べすぎ、塩分のとりすぎ、運動不足、喫煙などは高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病を引き起こし、動脈硬化につながりやすくなる習慣です。また、食生活の乱れは腸内環境の乱れにつながります。できるだけ見直しましょう。
Q.短鎖脂肪酸を増やすにはどうすればいいですか?
短鎖脂肪酸を増やすには、腸内の善玉菌を増やすとともに善玉菌のエサとなる栄養素を積極的にとることが重要です。善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖は、代謝されることで短鎖脂肪酸をつくります。特に、海藻や野菜、果物などの摂取を意識しましょう。
<参考文献>
※ 平田健一,山下智也「腸内細菌と循環器疾患」
1988年、東京大学医学部卒業。独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法「水浸法」を開発。大腸内視鏡6万件以上無事故のベテラン医師。大腸がん予防から始まった腸内細菌や乳酸菌にも造詣が深く、菌のパワーを使って健康になる方法を各所で伝授し続けている乳酸菌の専門家。サプリメント「今日から腸活!」の監修も務める。
編集/根橋明日美 イラスト/PIXTAほか
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