有村架純×坂口健太郎 Netflix話題の新作ドラマ『さよならのつづき』見どころを最速レポート

そろそろ寒さも本番を迎える季節。ラブストーリー、足りていますか?

思い返せば『silent』(フジテレビ系・2022年)の切なさに、私たちが沸き立ったていたのが約2年前。あれからテレビドラマや映画に、どストレートなラブストーリーが少ない今日この頃……。そんな枯渇状態の視聴者に向けて(?)、配信されるのが『さよならのつづき』(Netflix)です。

全8話、時間が経過することも忘れてしまうほど、ときめきも切なさも愛しさも満タンのラブストーリー。JJではここだけは見逃して欲しくない! という、作品の厳選見どころをお送りします。

観終わると、誰かに連絡したくなるかも。

Netflixシリーズ「さよならのつづき」
11月14日(木)よりNetflixにて世界独占配信

『さよならのつづき』あらすじ

菅原さえ子(有村架純)は恋人の中町雄介(生田斗真)からプロポーズをされて、幸せ絶頂のその日に交通事故に遭遇。雄介は即死、心臓を移植することになる。突然、不幸のどん底に突き落とされたさえ子。気丈に生活していたある日、偶然出会った成瀬和正(坂口健太郎)に不思議な縁を感じる。実は和正は雄介の心臓を移植されていた人物だった。

つい「自分なら?」となぞらえるシーンの連打

このドラマ、全8話はずっと苦しいです。主要人物の菅原さえ子と中町雄介、そして成瀬和正とその妻ミキ(中村ゆり)の4人に終始、心の底からの喜びはなく、時に大きく、時に小さく切ない。

例えばさえ子。彼女には物語のスタートから、恋人を失うという不幸が押し寄せてくる。この苦しさは想像以上に耐えがたいものです。それでも雄介も大好きだった、コーヒーに関わる仕事に没頭して、心身を奮起する様子は観ているこちらが辛くなりました。

愛していた恋人の心臓を持った和正が現れても、好きなのに、心から好きになれない。だって彼は雄介じゃない。プラス、妻帯者であるという背徳感もさえ子を苦悩させるのです。

心臓移植前の様子と変わっていく夫を支えるミキも辛い。途中、ミキはさえ子の存在に気づいてしまいます。

「聞きたくない。カズが(移植相手のことを)知りたい気持ちは分かるけれど、知りたくない」

「不倫のほうがよっぽど良かった!」

悔しさがあふれるミキ。特に最終話では「言いたいけど言えない」ことをさえ子に電話するシーンが印象的でした。これはぜひ配信で確かめてください。

そんな登場人物たちを観ながら、常に脳裏に浮かぶのは「自分ならどうするだろう」。恋人が死んだら? 目の前にその心臓を持った人が現れてしまったら?? 登場人物たちと自分をなぞらえるのがこの作品の核心かもしれません。

 

 

みんな待ってた! 坂口健太郎のラブストーリー!!

現在『愛のあとにくるもの』(Prime Video)でも、ラブストーリードラマに出演中の坂口さんですが、本作での和正役も良すぎました……。

和正は大学の職員で、気弱な性格。周囲にも常に敬語で、自分を主張してくることをはないタイプです。体の線も細くて、病弱だったのに雄介の心臓を移植してからというもの、自分ではないキャラクターが出没するのです。急にピアノが弾けるようになったり、飲めなかったコーヒーが飲めるようになったり……。そして戸惑いながらもさえ子に惹かれてしまう。普通の男ならとっととさえ子に手を出しているよね? と思うシーンも、ひたすら戸惑っているだけ。でも自分には支えてくれている家族がいると、心の苦痛が止まらないのです。

そんな和正を観ながら(不謹慎ながらも)「こんな坂口健太郎さが観たかった!」と、悶絶するのが『さよならのつづき』。

思い出してほしいのですが坂口さんは『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系・2016年)、『ごめん、愛してる』(TBS系・2017年)、「そして、生きる」(WOWOW・2019年)、『おかえりモネ』(NHK総合・2021年)などのラブストーリーに出演していた俳優さん。ストレートに表現できない人物の機微を魅せる天!才!なのです。

最近はリーガルもの、医療モノなどのドラマ出演が目立ちましたが、やっぱり彼にはラブストーリーが似合うと再確認できることをぜひ楽しんで。

 

ハイヒールを履く有村架純の劇中コーディネートが可愛すぎ

「うっわ〜、可愛いな」

「こんなふうに着たい」

「どこのブランド?」

そんなふうに声が出るのが、有村架純の劇中コーディネート。けして派手ではないのに、きっちり主張がある。シャツワンピースやハイウエストボトムの着こなし。スクールガール風のコーディネートでもネックレスの重ねづけで、大人っぽく外す……など、観ているだけで参考になります。

気になったのはほぼハイヒールを履いていること。昨今の映像作品でもだいぶ減った、女性出演者の衣装のヒール靴。実際、街中でも履いている女性は減りましたもんね。それでも履くのはさえ子の気の強さをヒールに込めて表しているのでは? と思うのです。

「ルブタンのピンヒールは、私が頑張って働いている証みたいなもんなの」

そう言うさえ子。ちなみに有村さんを担当しているのは、スタイリストの杉本学子さん。『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ、フジテレビ系・2021年)では松たか子さん。『着飾る恋には理由があって』(TBS系・2021年)では川口春奈さんのスタイリングを手掛けています。

 

ハワイと北海道小樽を舞台にした広大なスケールのロケーションに感動!

このドラマ、主要キャストだけではなく、ロケーションも「ハリウッドか!?」と思うほど、超・豪華。背景を観ているだけでも楽しめます。

物語の主要の舞台は北海道の小樽市。さえ子が雄介と住むはずだった家や、コーヒーハウスは作品のために建てられたものだと聞きます。その他、花火大会の会場や駅のホームなど、北の大地のありとあらゆるシチェーションを贅沢に使っています。

加えてさえ子と和正と出会うきっかけにもなった、ハワイロケも敢行。画面に映し出されるハワイ島カイルア・コナの風景は、広大すぎて観ていると現地に行きたくなりますね。ああ、早く円安がどうにかならないかしら……。

 

執筆/小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。公式HPはhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

イラスト/lala nitta 編集/齋藤菜月