モデル鈴木サチさん(45)「第5子出産後の体のダメージは年齢のせいではありませんでした」
10年以上にわたりVERYモデルとしても活躍された鈴木サチさん。今年4月、第5子となる男の子を出産しました。第一子・長女の出産から14年、都内の子育て環境もぐっと良くなり、自身が抱く母親像にも大きな変化があったといいます。まっすぐな言葉で、今の思いを語ってくれました。
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44歳、自分の体を過信していた。
産後の休息は何より大切
――スッと背筋が伸び、以前と変わらない立ち姿でスタジオを訪れたサチさん。第5子の出産から7カ月、ようやく生活しやすい体に戻ってきていることを実感しているそう。出産直後はあまりの痛みで歩くこともままならず、階段の上り下りなんてもってのほかだったといいます。
「産後2カ月でちょっとスクワットをしてみたら、それだけで体がボロボロ。明らかにこれまでとは違いましたね。私が通う整体の先生からは、44歳という年齢よりも〝5回の出産〟が体にも大きな影響があると言われました。骨盤が開く、まわりの靭帯が伸びる、骨盤まわりの繊維や組織が壊れる。5回目でわかっていたつもりなのに……産後はとにかく無理をしちゃダメですね。3カ月を過ぎた頃に、緩やかな運動から調整を再開。第3子出産のときから続けているピラティスのおかげで、今はすっかり元気です」
――5人目のきょうだいができたと伝えたときの、お子さんたちの反応は?
「長女の誕生日に報告したのですが、みんな泣いて喜んでくれました。今思い出しても泣けちゃう。実は第4子のときに流産を経験していたので、安定するまではパートナーにも家族にも言わなかったんです。彼に一足早く伝えたときには、抱き合って喜びました。本当に無事に生まれてくれてよかった……!」
朝の送迎やお風呂タイムの
「テトリス」も〝家族で〟攻略!
「我が家のお風呂の話、聞いてくれます?」
――明らかに人手が足りないであろう日々。こんなとき、どうしているの?の疑問だらけだった編集部に、サチさんが口火を切ってくれました。
「私が次男(5)と三男(2)とお風呂に入っている間に→長女(14)か長男(12)が四男(7カ月)を連れてきてくれる→四男を洗うときに三男が上がる→長女か長男が拭いてくれる→次男が上がる→長女か長男が拭いてくれる→四男を抱っこして私が湯船に浸かる→長女に渡して拭いてもらう。そのまま長女が、オイルやクリームを塗って、オムツを穿かせてくれる……と、毎日こんな感じです。大人の手が足りないので、たしかに大変。けれど以前にも増して、家族みんなで生活ができている気がします。上の2人にはちょっと負担をかけてしまうけれど、今のところは楽しみながら、ときに失敗もしながら頑張ってくれている。逞しく育っています。しばらくはこのフォーメーションで乗り越えたいと思います。朝の送迎については……さらにややこしいので、いつかお話ししますね!(笑)」
――家族だけでなく、ご近所さんとの繋がりを持っておくことも心の安寧につながっているそう。お隣さんとは、挨拶やお裾分けなどをしながら交流を続けてきました。
「ピラティスのインストラクターとしても活動しているのですが、週に1コマだけ夜にレッスンがあります。夫がどうしても調整のつかない日は、見守りカメラをつけて、小1時間家を子どもたちに託すことも。そんなとき、〝何かあればママにすぐ電話してね。お隣の○○さんの家に駆け込んでね〟と伝えています。お隣さんにも、何かあれば頼ってくださいね、と。東京のご近所付き合いは希薄な印象があったけれど、今の家に越してからはいい距離感でお付き合いができるご近所さんがいるのはとても心強いですね」
母親が全部やらなきゃいけないって
誰が決めた?……自分だ!
――母15年目。その期間があれば、街も制度もまわりの人も変わる。サチさん自身もさまざまな子育て支援制度に助けられ、子どもがいる環境も、とりまく街も、人も徐々に優しく変化したことを実感しているそうです。けれど母になった当初は、〝母はこうあるべき〟という固定観念に囚われ、自分に負荷を課した結果、体を壊して入院をした経験も。それを機に1度離婚も経験しています。
「30歳で第一子を出産したときは毎日がとにかく必死で、子どもを置いて出かけるなんて、到底考えられませんでした。第二子出産後、久しぶりに友人たちとご飯へ出た夜、ある人から〝よくお子さん置いて飲みにいけますね〟って言われたんです。自分で決めて出かけたものの、どこかで罪悪感を感じていた私は帰りのタクシーで大号泣。お酒も相まって大泣きしながら帰宅した私に、当時の夫からかけられた言葉が悔しくてさらに号泣……周囲とも自分とも、一番戦っていたときかもしれません。」
――今では考えられないルールを自分で作っては、首を絞めていたとサチさんは振り返ります。例えば、朝・夜ご飯は必ず週5で作る、平日はお菓子を食べさせないなど…。あるときそれまでのストレスが祟り、急性胃腸炎で入院。そんなときでも家族にうまく頼ることができなかった。
「今ならなぜ元夫にお願いしなかったのだろうと思えるのですが、当時は私がやらねば、母親がそばにいなければ、という気持ちでした。長女が6歳になるまではこの考えに囚われていましたね。退院後にふと、全部母親がやらなきゃいけないって誰が決めたんだっけ?……私じゃない!?と気がついて。やっぱりこのままではいけないと、離婚を決意。子どもたちとの生活を見直し、金曜日はなるべく仕事を入れないこと、そして、金曜の夜は子どもたちと早くお風呂に入ってリビングにお布団を敷いて、ポップコーンを食べながら金曜ロードショーを観るって決めたんです。今思い出しても、最高の時間でした。お布団の上でポップコーン!?とそれまでの私だったら目玉が飛び出ていたと思うけれど、子どもたちがすっごく楽しそうで。私は何に囚われていたんだろう…と反省しました。仕事もするし、外にも出る。母が楽しむ姿を見せながら、子どもと過ごすことはできる。第2子のときに、自分が納得のいく形で生活をシフトしたことが、今につながっていると思います。」
鈴木サチ
1979年生まれ、愛知県出身。モデルとしてファッション誌やイベントで活躍。ピラティス(STOTT PILATES®認定インストラクター)のスタジオを主宰し、自身もレッスンを開講している。お子さんは5人おり、長女14歳、長男12歳、次男5歳、三男2歳、四男7カ月。現在は、新たなパートナーとステップファミリーを築く。
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撮影/堺 優史〈MOUSTACHE〉 取材・文/藤井そのこ