一歩進んでる『韓国の教育事情』グローバル人材のための基礎教養って?

「子どもを海外で通用する人材に育てたい」という考えが一般的になってきた今日この頃、おとなり韓国では一歩進んでいるようで…。マレーシアへ教育移住中のエディター・マーサがK-MOMの教育事情をリポート。『VERY NaVY』2024年11月号からの第2回目。今回はママたちの習い事事情をお届けします。

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音楽もスポーツもアートも!
韓国ママの習い事事情

クアラルンプール市内にはモントキアラという、外国人が多く住んでいる街があります。東京でいうと、広尾といったところ。これらの界隈のカフェに入ると、必ずといっていいほど韓国ママたちのグループがいて、4~6人くらいで楽しそうにおしゃべりしています。これこそが韓国ママたちの強み。こうしたカフェタイムにインターの評判から、塾や習い事の情報などをシェアしていくのです。塾はもちろん、水泳ならどこ、サッカーならどこ、楽器ならどこ、などさまざまな情報を持ち寄って、取捨選択していく様子。

韓国で人気の3大習い事とは

意外かもしれませんが、韓国ママは勉強以外の分野の習い事にも熱心なのです。超学歴社会の韓国ですが、「勉強だけじゃなくて才能を伸ばすことや、感受性やクリエイティビティを育てることも大切」と考える人が最近増えていて、さまざまな習い事のニーズがあるとか。韓国ママ友のジェヒ曰く「韓国での習い事は『ピアノ、テコンドー、アート』。この3つは基本パッケージでみんな通ってる。だいたい学校の近くに塾や習い事の教室が入ってるビルがあって、学校から直接習い事に行くのよ」音楽、スポーツ、芸術それぞれの習い事をすべてやるなんて!しかも、日本のように週1回通うのではなく、2〜3日おきが当たり前。さらにその子が向いてると思ったら、毎日レッスンを入れたり、個人指導の先生を探したりすることも。で、さらに本人の好みや親の意向で習い事を増減させて、ほぼ毎日習い事、しかもハシゴでという子も少なくないと言います。小さいときからさまざまな習い事をやり基礎をつくる。さらに才能がありそうならそこを集中的に伸ばす、というのがK-MOMスタイルのようです。

才能の芽は見逃さない!
最大限まで伸ばすのがママのミッション

前述のジェヒも、前の学期は息子くんをゴルフに集中させました。親子で楽しむために始めたのがきっかけで、息子くんはメキメキ上達。コーチからも「才能ある!」と言われ、数々のトーナメントに参加し、その期間は学校の勉強はお休みするという徹底ぶり。その時彼女が言っていた「まだプライマリー(小学校)だから、トライだけしてみる」という言葉がとても印象的でした。日本では、中受をする場合、高学年になったら勉強に全集中せざるを得ないので、小学校の時に、それ以外のことを身につけられるのは正直うらやましい気がします。けれど、とある韓国ママは「それはそれで、大学までの道のりが長くてつらい」と言います。長期的視野で考えることができる一方で、あれもこれもになってしまうこともあるのだとか。たしかにそれもありそう。ただ、息子がこちらのインターに通って感じるのは、スポーツや音楽、アートなどの分野が得意だと異文化に溶け込みやすいということ。英語ができなくてもスポーツができれば仲間に入れるし、楽器が得意な子はコンサートなど披露の場もある。アートで自分を表現できれば一目置かれます。そういう意味では、グローバルな舞台では韓国ママの習い事戦略は、やはりなかなかの勝ち筋なのではと思うのです。

Q.なぜ受験社会の韓国でこんなに習い事を?

総合型選抜の大学入試のため受験のためという戦略も…
習い事に力を入れる理由は他にも。熾烈と言われる韓国の大学入試は、今や日本で言うところの総合型選抜が主流。コンクールや競技会での受賞歴などをポートフォリオにのせるためという狙いもあるようです。ドラマ「SKYキャッスル」でもポートフォリオを見せる見せないの一悶着が描かれていました。米国大入試でも勉強以外の側面を見られるため、習い事は海外進学組にも有効な手段と言えそう。

今月の1枚

 

マレーシアライフで気に入ってるのが、コンドミニアムにプールとジムが完備していること。ほぼ100%のコンドにプールはあって、子どもたちが水泳を習うときは、コーチに自宅コンドに来てもらって個人指導というスタイルが主流です。

Profile

マーサ斉藤 MARTHA SAITO

元雑誌編集者。中学受験から逃げるように息子とマレーシアへ移住。最近はK-MOMたちに触発されduolingoで韓国語を勉強中。教育系メディアfindits(findit-s.com)にも参加。

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イラスト/香川尚子 取材・文/マーサ斉藤 編集/水澤 薫
*VERY NAVY 11月号「連載 子どもの頃から海外進出も視野に!?K-MOM流 グローバルエリートの育て方」より抜粋。詳しくは2024年10/7(月)発売VERY NaVY 11月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。