井川遥さん「VERYとともに駆け抜けた30代」と今の“ちょうどいい幸せ”を語る
井川遥さんが、VERYに帰ってきた!ハンサムマザーの代表としてカバーを飾ったそのブレない魅力は、ずっとそのまま。VERYとの思い出、今の子育て、自分のこと、俳優という仕事を通じて感じた今の井川さんの“ちょうどいい幸せ”とは。ゆっくり、丁寧に紡ぐその言葉が私たちに、やさしく響きます。
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VERYとともに駆け抜けた30代。
読者の皆さんの存在に励まされていました
母という役割が私を成長させた
9年3カ月、VERYカバーモデルを務めた井川遥さん。卒業から8年、その笑顔は変わらず素敵で、やさしい。
「大切な節目に呼んでいただける幸せ、改めて30周年おめでとうございます!ファッションの仕事に憧れてこの世界に入りましたが、今でもファッション撮影が好き。デジタル時代と言われてもやっぱり紙が好きなんです。カバーモデルのお話しも、毎月できるなんて!と喜んで引き受けさせていただきました。どの記事もほとんど覚えてる!っていうぐらい、色濃く豊かな時間でした」。
カバーモデルの期間中に、ふたりの子どもの妊娠・出産を経験。井川さんのライフステージも大きく変化したとき。
「はじめての子育てに不安がいっぱい。娘が2歳のときには東日本大震災が起こり、命を守りながら仕事をすることについても考えさせられました。今のようにネットの情報などがない中で判断を迫られることが多く自分自身が一気に成長しなければならなかった時期。でも、読者の皆さんと一緒に子育てしているような感覚で、思い通りにいかない毎日も“みんな頑張っている”といつも励まされていたんです。VERYとともにあった30代でした」
塾のお迎え、娘とふたりで
歩きながら語らうひととき
現在、お子さんは高校生と中学生に成長。今の子育てについて、聞いてみた。
「朝の登校時間が早くなり、お弁当のサイズも大きくなり(笑)。一旦出かけたら家に帰ってくるまでの時間は長くなりましたが、塾から帰宅して晩ごはんとなると、一日が終わるのがどんどん後ろ倒しに。部活や習い事や塾、定期テストなど忙しい子どもたちのそれらのサポートや、時には悩みにも耳を傾けたり……子育ても年齢とともに色々変化しますね。自立に向かって子離れしたいけれど、習慣づいていないこととか、年齢に合わせた振る舞いができているかとか、いくつになっても口うるさく言ってしまいがちです。
娘の塾の迎えに行くと、何駅分も歩いて帰ることが多いのですが、ゆっくり話せて嬉しそうです。それとちょっと寄り道をして美味しいものを買ってもらえるかもしれない、そういう企みも感じます(笑)。普段よりも一段深まる会話にふと成長を確かめられることがあって、いいコミュニケーションの時間と、いい運動にもなっています」
相手を慮り、遠慮する。
大人は意外とむずかしい
子育てに奮闘しながらも、映画やドラマの出演作が続き、俳優としてのキャリアを着実に重ねる井川さん。映画『平場の月』で演じるのは、事情を抱えた大人の切ない恋物語。
「私が演じた須藤葉子は、恵まれない幼少期、学生時代を過ごしたことから誰かに甘えることをよしとせず覚悟を持って生きてきた人。50代、独り身になって地元に戻ったとき、中学の同級生の青砥(堺雅人)と再会し、また心を通わせるようになる。でもふたりにはそれぞれに過ごしてきた時間があり、生き方がある。若い頃の恋愛は好きという情熱だけで突き進むようなところがあるけれど、年齢や経験を重ねていくほどに事情が増え、相手を慮り、迷惑をかけたくないと遠慮して…大人の恋愛はなかなかもどかしいものがありますね。
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人生のタイミングはそれぞれ。
比べるものではないと気づいた40代
今、手の届く範囲の幸せを大切にすること
『平場の月』の平場とは、特別ではない場のこと。日常の意味でもある。井川さんがこの作品を通してあらためて考えたのは、日常にある“普通の幸せ”。
「人生のタイミングは自分自身では計ることができず、いつ何が起こるかは予知できないけれど、須藤が波瀾万丈な人生を経たうえで守ろうとしたのは生活の中にあるささやかな幸せ。私も今の年齢になり、自分の中にある幸せに目を向けるようになったのを感じます。親の体の衰えや自分の体の揺らぎ、そして子育て…背負うものが多い世代ではありますが、大事にしたいことやものにフォーカスできるようになり、気持ちはシンプルになってきています。VERYの読者の皆さんは今、子育てと仕事の両立に奔走する日々で、たくさんのエネルギーが必要ですよね。子どもに多くの経験をさせたいし、仕事も充実させたい、いろいろなおつきあいもある。日々に追われて過ぎていきますが、でもそうやって向き合っていることが時間が経ったときに経験として味わい深くなっていくと思うんです。そしてこの映画を通してこの先の家族のこと、仕事のことや健康のこと。当たり前の日常の中にあるちょうどいい幸せを、大切な人と語り合いたくなるはず。そんな映画です」
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『平場の月』

原作は第32回山本周五郎賞受賞、発行部数25万部を突破した朝倉かすみの小説『平場の月』(光文社)。時を経て再会した中学の同級生、青砥健将(堺雅人)と須藤葉子(井川遥)の15歳の淡い初恋と、大人のリアルで切ない恋愛を描き出す。監督は映画『花束みたいな恋をした』『ハナミズキ』など恋愛ドラマの名手である土井裕康、脚本は映画『ある男』を手掛けた向井康介、主題歌『いきどまり』は星野源が書き下ろした。その他のキャストも豪華な顔ぶれ。11月14日より全国東宝系で公開。
公式サイト https://hirabanotsuki.jp
Instagram @hirabanotsuki
◼︎Haruka Igawa
井川 遥 1976年生まれ、東京都出身。俳優としてドラマ、映画などに多数出演。2008年から2016年までは、VERYのカバーモデルとしても活躍。
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撮影/酒井貴生〈aosora〉 スタイリング/斉藤くみ ヘア/Koichi Nishimura〈VOW-VOW〉 メイク/佐々木貞江 取材/櫻井裕美 編集/太田彩子
*VERY2025年12月号「井川 遥さんインタビュー 今、わたしの“ちょうどいい”幸せ」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。