【中学受験のその後】「やっと終わったはずなのに、なぜかつらい…」母たちが陥る“中受ロス”

2月の初旬には多くの中学校の入試が終わります。それなのにホッとしたのも束の間、心にぽっかり穴が開いたよう。そんな「中受ロス」は結果にかかわらず多くのママが経験するとか。専門家の両視点からそのメカニズムと克服法を探ります。

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<中学受験ロスとは?>

教えてくれたのは… 中学受験カウンセラー 安浪京子先生

◇ 結果にかかわらず、 多くのママが 「中学受験ロス」を 経験しています

これまでの経験上、入試が終わって数日後に体調を崩して寝込んでしまうなど身体症状に出る人と、何もやる気にならない、手につかないという無気力の人に分かれますね。第一志望に合格してもロスになる人は多いんです。テキストを片付ける気にならないのも、わかりやすい特徴。

主催している「中学受験カフェ」という中受専門のサイトで、〝成仏できない〟お母さんたちの気持ちをなんとかしたいと受験ロスの会を開催したら、思った以上に反響がありました。

中受ロスは大きく分けて、後悔と燃え尽きの2つ。後悔の方が根が深いようで、数年成仏できない方も。中受ロスは、お子さんの受験というものがない生活に上手く順応できない状態—つまり、中学受験にずっと支配されてしまっている状態なのです。

<なぜこんなに虚脱感を感じるの?>

教えてくれたのは… 脳科学者 瀧 靖之先生

◇ ロスの正体は子どもに対する 〝予期期待〟です

中学受験終了後、多くの親が経験する喪失感は、心の問題だけではなく、脳のメカニズムからも説明できます

受験勉強の期間中、親は常に我が子に対して「予期期待」を持っています。次のテストではクラスが上がるかも、第一志望に合格するかも、という予期期待が脳の報酬系を刺激し、ワクワクドキドキという感情の起伏を生み出しています。この喜怒哀楽のジェットコースターが2月の入試でスパッと終わると、報酬系の刺激がなくなることでロスに

さらに、受験期間中、濃密な伴走で築かれた愛着形成も急に失われることで、喪失感はより強くなるのです。これは、スマホがやめられないことのメカニズムに似ています。「何か面白いものがあるかも…」とワクワクして見続ける。スマホはいつでも見られますが、受験はもう二度と経験できない分、ロスが大きくなるのです。

親の伴走の度合いとロスの大きさは、必ずしも比例しません。本気で関わったからこそロスが少ない人もいれば、半端に関わったからこそ「もっとやれば良かった」と後悔が大きい人も。満足できない結果は、そもそも簡単には受け止められないと理解することも大切。

その上で、根本的解消には時間がかかりますが、脳のストレスレベルを下げることはできます。脳科学的にストレスを軽減する【有酸素運動、趣味活動、会話、睡眠】が有効です。これらを意識的に習慣化すると、脳の扁桃体(ストレスで活動する領域)を鎮め、数カ月のうちに気持ちがスッキリするのを実感できるはず。

<どうしたらロスが解消できる?>

教えてくれたのは… 中学受験カウンセラー 安浪京子先生

◇ 自分を労って、ゆっくり解決を

中学受験ロスは、すぐに解決しようと思わないことです。時間と子どもの笑顔とが解決していきますから。ただ、渦中にいる時は、どんな励ましの言葉も入ってこないでしょう。

だから、まずは労うことしかできないんです。「長きにわたる中学受験、本当に伴走お疲れ様でした、よく最後まで伴走されましたね」と伝えたい。その上で、家族でできること、ママ自身ができることについて、具体例を参考にしてみてください。

中学受験はやっと終わったはずなのに…「なぜか苦しい」親と子に。“中受ロス”を軽くするヒント

⚫︎ 先生方のプロフィール

中学受験カウンセラー 安浪京子先生

中受専門のプロ家庭教師として25年以上のキャリアを持つ。(株)アートオブエデュケーション代表。プロ家庭教師派遣や親子のメンタルサポートを提供。著書や講演など多数。

脳科学者 瀧 靖之先生

東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター・センター長。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)。お子さんの中受を経験、充実した良い思い出だそう。

撮影/清藤直樹 取材/羽生田由香、西村絵津子 ※情報は2026年2月号掲載時のものです。

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