中山優馬さん、姉と話し合って始めた親孝行「親の年齢も考えて、年に1回くらいは何かしなきゃなって」

確かな演技力と存在感で幅広く活躍する中山優馬さんが、鴻上尚史さんが作・演出する舞台に7年ぶりに出演します。作品は、劇団「第三舞台」のメンバーが2026年版のユニット「第三舞台2026」として15年ぶりに再結集する、新作『パレイドリア』。澄んだ大きな目が印象的な32歳に、稽古の様子や舞台の面白さ、ご家族の話など、たっぷり伺いました。

▼あわせて読みたい
中山優馬さん 「逃げ出したい朝」もあるけれど、課題と向き合っている時間が、実は一番充実している

今だからこそ描ける皮肉めいた面白さもある作品です

――絶賛稽古中(取材時)の新作『パレイドリア』。作品の印象から聞かせてください。

稽古が2週目に入って、全体像が見えてきたところなんですが、今回も盛りだくさんな印象です。それぞれに違った悩みを抱えている登場人物たちが、42年前に上演するはずだった子ども向けの芝居をもう一度やろうとする話で、劇中劇も入ってきます。行き過ぎたコンプライアンスに振り回されて、なかなか稽古が進まないというような、ちょっと皮肉めいた面白さもあって、まさに令和8年の今だから描けるものになっていると思います。

――タイトルになっている“パレイドリア”は、雲が顔に見えたり、壁のシミが動物に見えたりするというように、無意味な形状やパターンに知っている形を当てはめてしまう心理現象や錯覚を意味する言葉とのこと。とても興味をそそられます。

“パレイドリア”という言葉自体は、脚本に1回も出てこないんです。きっと鴻上さんに聞けば、このタイトルをつけた意味を言語化してくれると思うんですけど、それは野暮な気がするので、僕は聞いていません。自分の中では、目に見えているものだけが真実ではなくて、いろいろなものの見方がある、自分には見えていても他人には見えていないこともある……そういった“すれ違い”のような意味合いがあるのかなと感じています。

――1980~90年代の日本の小劇場演劇界を牽引し、活動封印期間を経て2011年に解散した劇団「第三舞台」のメンバーが再集結する本作品。出演依頼を受けた時はどう思われましたか?

「マジか!」と思いました。「そんな大事な公演にキャスティングしてもらえるのか」って。でもやっぱり嬉しさの方が強かったです。7年前の『地球防衛軍 苦情処理係』が、僕にとって2作目の鴻上さんの舞台だったんですけど、当時事務所の先輩だった風間(俊介)くんはすでに3本出ていたんですね。それで、その時「風間くんと並ばせてください、とりあえずもう1回は呼んでください」と鴻上さんにお願いしたら、「わかった、わかった」と言ってくださって。それから7年も経っているので、鴻上さんには「ちょっと遅いんじゃないですか?」と言ったんですけど(笑)、また鴻上さんの作品に呼んでもらえて、しかも第三舞台のメンバーの方々と一緒に演じることができて、すごく嬉しいです。

――稽古場は、どんな雰囲気なのでしょう?

最初の台本の読み合わせで皆さんが揃われた時、(第三舞台の皆さんは)「こんなに仲がいいんだ」「同窓会みたいだな」って、ちょっとびっくりしました。当日券を求める人が紀伊國屋ホールに何百人も並んだというような第三舞台の“伝説”をいろんな人から聞いて、正直きっといろんな大変なこともあったかと思うんですけど、全然そんな感じじゃなくて。

――かつて一緒に“時代”を作った仲間同士、とてもいい雰囲気なのですね。

そうなんです。僕は、長野(里美)さんと大高(洋夫)さんとは前ご一緒させていただいたことがあるんですが、このメンバーで話す時はこういう顔になるんだ、また違う一面を見たなと思って、それがすごく嬉しくて。鴻上さんの「信頼している若手俳優にも集まってもらった」みたいなコメントにプレッシャーも感じてはいるんですが、この先輩方をしっかり支えたいという気持ちです。

僕が演じる輝一郎が“希望”のような存在になれば

――中山さんが今回演じる乾 輝一郎(いぬい きいちろう)は、ある出来事をきっかけにバラバラになった仲間たちに、42年前に上演中止になった芝居をもう一度やろうと持ち掛ける認知症の父を支える息子の役とのこと。どんな印象をお持ちですか?

なんだかんだいって優しい青年だなと思います。「親父が認知症にならなかったら、口をきいてないと思う」っていうようなセリフがあるくらい、父親に恨みというか、怒りを持って生きてきたところがあるんですけど、父親が認知症になったことで見えていなかった部分が見えてきて、「こう思っていたんだ」と理解していく。だから、決して優しいだけの人間じゃないとは思うんですけど、何かこう、それぞれの悩みや事情と向き合いながら支えることで、「それでも今日もまた生きていくんだ」っていう“希望”のような存在になれたらなと思っています

――中山さんご自身には、反抗期はあったのですか?

反抗期と呼ばれるようなものは、たぶんなかったと思います。小さいことで親に盾突くみたいなことは多少あったのかもしれないですけど。僕は12歳からこの世界にいるので、新しい世界に出合って、ある程度エネルギーが解放されていたことが大きい気がしますね。反抗期って、エネルギーはあるけど開放する場所がないっていう、何かこう鬱屈としたものの表れじゃないかと思うので。

姉との会話を機に、家族旅行が恒例行事になっています

――中山家では毎年、家族旅行をなさっているとか。

6年ぐらい前からですかね。姉(元アイドルで、現在はアイドルグループ「すべての瞬間は君だった。」をプロデュースしている山田菜々さん)と、「もう親も年だし、何があるかわからないから」みたいなことを話し合って、一応恒例ということで、年に1回旅行することにしたんです。親が楽しそうにしているのを見ると、やっぱり単純に嬉しいし、今年も家族旅行ができてよかったなって思いますね。もちろん自分も楽しいですけど、半分は親のためっていうようなところがあるので。

――素敵な親孝行ですね。

やっぱり自分のために何かをするのって限界があるし、僕は関西出身で、親元を離れるのが早かったせいもあるかもしれないです。今は姉も妹(元NMB48で、今はアイドルグループ「空想ロマンス」メンバーの山田寿々さん)も東京にいて、親だけ大阪にいるので、余計に年に1回くらいは何かしなきゃという気持ちにはなりますね。

――お姉さんや妹さんと一緒にイベントに出演したり、SNSに登場されていますが、普段から仲が良いのですか?

そうですね。仲は良いと思います。ただ、姉と妹の方が圧倒的に仲良いです。僕は1ヶ月に1回ぐらい「ご飯行こうか」みたいな感じですけど、姉と妹は2日か3日に1回ぐらい会っている感じなので。妹は、僕とは8つ、姉とは10個年が離れていて、昔は結構「僕らが育てた」みたいな感覚があったので(笑)、特に姉は妹が可愛くてしょうがないみたいです。ちなみに妹を幼稚園へ迎えに行くのは僕の担当でした。

チャレンジ精神は親譲りかもしれないです

――ご自身が、親御さんに影響を受けたなと感じる部分を教えてください。

親がいろんなことやっていたので、チャレンジ精神に関しては、何かしら影響されているかもしれないです。喫茶店をオープンしたり、そのあとマッサージ店をやったり、仕事でもいろんなことにチャレンジしていたので、そういう姿にはわりと影響を受けているかもしれないですね。

中山優馬さんProfile

なかやま・ゆうま/1994年、大阪府生まれ。2008年にドラマ『バッテリー』の主演で俳優デビュー。以来、ドラマ、映画、舞台など多くの作品に出演。近年の主な出演作は、ドラマ『雪煙チェイス』『浮浪雲』、舞台『大誘拐〜四人で大スペクタクル〜』『あゝ同期の桜』『スイートホーム ビターホーム』、ミュージカル『破果 パグァ』など。秋には舞台『蛙昇天』の出演も控える。音楽活動も精力的に行い、「ReTRY」「SPARK」が配信中。

紀伊國屋書店創業100周年記念公演「第三舞台2026」『パレイドリア』

42年前のある出来事をきっかけに、バラバラになった大学時代の児童ボランティアサークルの仲間たち。認知症と診断された仲間の一人・乾が「上演できなかったあの芝居をもう一度やろう」と言い出したことで、止まっていた時間が動き始めるが……。

作・演出/鴻上尚史 出演/大高洋夫 小須田康人 長野里美 山下裕子 筒井真理子(映像出演) 中山優馬 飯窪春菜 小松準弥 安西慎太郎 渡辺芳博 ほか

2026年8月9日〜30日/東京・紀伊國屋ホール 9月に大阪、新潟、愛媛、北九州公演あり

https://www.thirdstage.com/daisanbutai2026/

取材・文/岡﨑 香 ヘアメイク/小林綾子 スタイリスト/柴田拡美 撮影/古水 良

衣装協力/バナナ・リパブリック(br_info@bananarepublic.jp)

おすすめ記事はこちら

中山優馬さん(32)【特別カット集】心まで見透かすような圧倒的目力と、力を抜いた笑みのギャップをお届け

斎藤工さん(44歳)、同世代の皆さんへ―― 年齢を重ねても「変化」できる秘訣は、“腸を整えること”です

斎藤工さん(44歳)、僕は「アンチエイジング」という言葉がキライです

STORY