奈緒さん「今日もうまくいく」を口グセにしています

2026/09/e0ef15a9b268826b89214e4c2b2e69dd.jpg

パートナーからのDVに悩む女性たちの連帯と、その裏で起こる衝撃の事件を描く映画『シャドウワーク』。主演の一人である奈緒さんは、事件を追いながら、自身も夫からの暴力に苦しむ刑事・薫を演じました。作品への思いや30代を迎えての心境の変化、「いつもやっている」という、悩んだときも心が軽くなる習慣について伺いました。

こちらの記事も読まれています

仲里依紗さん「23歳で結婚、出産。正直、不安しかなかった」

30代、節目のタイミングで「健康診断」に

──奈緒さんは、VERYの読者世代と同じ30代。20代の頃と比べ心境の変化はありましたか。
成人式を迎えたときは「大人になるんだ」という実感がありましたが、30代は特に節目となるようなイベントもなかったので、その代わりに行ったのが健康診断です。これまで検査していなかった箇所も含めていろいろ調べた結果、思った以上に自分が元気だということがわかって。改めて、「これまでやりたかったけれど、まだやれていないことってなんだろう」と考えるきっかけになりました。
20代の頃は、失敗してもいいから、と温かく見守ってもらえることが多かったように思います。のびのびとやりたいことに挑戦させてもらいました。その一方で、大人として発言や行動の一つひとつに責任が伴うのだと知った時期だったと思います。迎えた30代は、演じる役柄も変わってきて、今後新たな悩みも増えてくると思いますが、作品を通して人生を考えることも多く、自分のペースで向き合えたらいいなと思っています。

2026/09/b02624da855f858d41be3cc2cfa9a70c-1.jpg

※本文中の画像はすべて、映画『シャドウワーク』より。

迷ったとき助けになった吉岡里帆さんの言葉

──『シャドウワーク』は、魅力的なキャストが揃った作品です。先輩世代の皆さんと実際に共演されていかがでしたか?
今回ダブル主演した吉岡里帆さんとは以前、CMで共演させていただいたときから、また作品でご一緒できたら、と思っていたのですごくうれしかったです。今回、私の演じた薫は、事件を追う刑事でありながら、自身もパートナーから暴力を受け苦しんでいるという難しい役。作品では、私が単独で演じるシーンも多く、自分自身の孤独と向き合うような表現に悩みました。そんなときは、別のシーンを撮影中の吉岡さんの姿を想像していたんです。吉岡さんの何事にも誠実に向き合う姿勢に憧れていて、その存在自体が支えになっていました。演技についても相談できる頼れる先輩でしたが、実はお互いグミが好きという共通点があって(笑)。撮影合間に一緒に好きなグミを食べながら話すのも楽しかったです。

 

2026/09/09e75d005de1d212b03989835c932057.jpg

──今回の作品は風吹ジュンさんや美保純さんなど、実力ある俳優陣が勢ぞろいです。
風吹さんはNHK連続テレビ小説『半分、青い。』で共演させていただいたときからのご縁で、プライベートでもお世話になっているので一緒の現場でとても心強かったです。美保さんはひとことで言えばチャーミングな方。引力があるというか美穂さんだけに流れている時間のようなものがあって、お話しているときの「間」がなんとも魅力的なんです。チャーミングな人って憧れますよね、と吉岡さんともよく話していました。真似するのはとても難しいですが、私もチャーミングな視点を持つ人になれたらいいなと思っています。

 

2026/09/7fe14e5b95c2e6dcfc448d9f80f61f84.jpg

自信がないときも「きっとうまくいく」と考えるようにしています

──ご自身は、仕事やプライベートで悩んだとき、自分に自信が持てないときはどうしていますか?
「絶対にうまくいく」って、先に決めています。正直自信がなくても「今日もうまくいったんだ」というつもりで出かけます。『シャドウワーク』の撮影のクライマックスでは、キャストの多い大がかりなシーンがあってうまくまとまるか不安でした。でも、「これだけ信頼できる監督やスタッフ、俳優陣が揃っていてうまくいかないはずはない!」と思うようにしてから家を出たんです。かなりハードな撮影でしたが、ネガティブな方向に心を持っていかれずに、無事に撮影を終えることができました。
もちろんいつも希望通りにいくとは限らず失敗したり、落ち込んだりすることはあるのですが、次の日にまた「今日はうまくいくはず」と思うようにしています。どうやってもダメな日は「仕方ない。そんな日もあるよね」って思いながら、「この状況から学べることってなんだろう」と、失敗したからこそ経験が積めるという気持ちで過ごすようにしているんです。

 

──ポジティブに考える習慣、取り入れてみたくなりました。「うまくいく」と先に決めるようになったきっかけは、なんだったのでしょうか。
偶然見た占いに、「今日、出かけるとき、うまくいったと言って家を出ましょう」と書いてあったんです。「これ、すごくいいな」と。何気なく出会った言葉でしたが、今では気持ちを切り替えるための言葉になっています。

2026/09/b31be18f56ef8696eaef735dd468eaed.jpg

「シャドウワークをしている人」に観てもらいたい作品

──作品のなかには、夫婦関係や人生に悩む女性たちが登場します。VERY読者も作品に描かれていたような悩みを、大なり小なり抱えている方がいるかもしれません。
タイトルにもなっている『シャドウワーク』は、「影の仕事」「賃金が発生しない仕事」を指すこともあります。今、育児中の人は、子どもの世話をしたり、家事をしたり、誰かのために必要な仕事をしているはず。私はまだ経験がないですが、子どもを育てることに大きな責任が伴うなかで、自分のための時間がなかなか取れず、本当の気持ちに向き合うことができなかったり、自分の気持ちに蓋をしてしまったりすることもあるのかなと想像します。

 

──夫婦関係や仕事のこと。悩みや不安はあるけれど、子どもが小さい今は動けない。そんな声を読者から聞くこともあります。
予告編でもご覧いただけるのでぜひ観ていただきたいのですが、『シャドウワーク』の冒頭には「思考実験」として、どちらを選ぶのが正解なのか、観る人の気持ちを揺さぶるような質問が出てきます。物事の正解・不正解をジャッジするだけでなく、自分自身はどう思うのか、考えを重ねたうえで何を選択するのか、そんなことを考えたくなる作品になっています。この作品に出演して強く思ったのは、誰もが、自分の選択を大切にできるような社会になってほしいということ。この映画が観る人の前向きな選択のきっかけとなればとてもうれしいです。

取材・文/石川仁美

 

9月25日(金)~全国公開スタート!

映画『シャドウワーク』

配偶者や親から暴力を受けた女性たちを匿うシェルター〈おうち〉。一見穏やかなその場所では、日常と同じ手つきで、“あること”が行われている ──完璧に考え抜かれた方法で。「見えない暴力」に、一人で耐えないことを選んだ。なぜ彼女たちはここに辿り着いたのか。その連帯は、いつしか境界を越えていく──。佐野広実の人気小説を映画化。監督は、『君は永遠にそいつらより若い』の𠮷野竜平が務め、善悪では語れない社会の歪みに鋭く切り込む。夫の暴力から逃れ、日常を取り戻そうとする紀子役に、吉岡里帆。不可解な事件を追う刑事・薫役に、奈緒。幅広い作品で多様な人物を生き抜いてきた二人が初の映画ダブル主演を果たし、本作では覚悟と揺らぎ、爆発寸前の緊張感を表情と沈黙で体現している。

2026 年9月25日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
©佐野広実/講談社 ©2026「シャドウワーク」製作委員会
配給: ショウゲート
出演:吉岡里帆、奈緒、美保 純、酒井若菜、ファーストサマーウイカ、佐月絵美、北村匠海、原 嘉孝 (timelesz)/ 風吹ジュン

Profile

奈緒(なお)さん

1995年、福岡県生まれ。2018年にNHK連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインの親友役に抜擢。近作は、映画『傲慢と善良』、『死ねばいいのに』、ドラマ「東京サラダボウル」、「塀の中の美容室」、舞台『大地の子』など。公開待機作に、主演映画「あをの情」(2027)がある。初のフォトエッセイ『いつか』が好評発売中。

あわせて読みたい

大橋未歩さん「10年間の不妊治療…今なら話せると思った」

元女子プロサッカー選手・大滝麻未さん「産後3カ月で実戦復帰」にかけた想い

松井ケムリさん「やっぱり失敗には慣れておいたほうがいい」父になって描いた初めての絵本<7/24発売>