【介護未満の親のケア】ジェーン・スーさんの出した答え。「自分の人生ではない、という線引きを」

「まだ先のことだから」と、具体的には考えられていない【親の介護】。自身も父親のケアをしているジェーン・スーさんに、リアルなお話を伺いました。

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ジェーン・スーさん『追い詰めない、追い詰められない介護を目指しましょう』

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コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家として幅広く活躍。父親の介護経験をもとにした著書『介護未満の父に起きたこと』では、親も自分も守る介護の向き合い方をユーモアとリアリティ溢れる言葉で綴っている。

◇「親も自分も守る介護」が 新しい介護の考え方

父から連絡が来て久しぶりに実家に帰ったら、荷物が溢れかえり、ゴミ屋敷寸前でした。室内での転倒を防ぐため、お金はかかりましたが早急に清掃と廃品回収の業者を手配。もちろん家を片付けることに親は抵抗しますが、必要な物を一つの部屋にまとめて「あの部屋にある」という状態をつくったんです。結果「あれはどこ?」と聞かれても、「あの部屋にあるよ」と答えられることが父の精神の安定につながりました。

私は自分の仕事や生活を優先する形での介護をしています。残酷ですが介護は子育てと違って、日々「できることが増える」とはいきません。〝親の人生は、自分の人生ではない〟という線引きをし、親が転ばぬように後ろから見守ることが、子どもの役目だと思っています。私も正直、父と幾度となく衝突はありましたが、「父が健康的で、一日でも長く一人での生活を続けること」という最終目標を定めてからは、覚悟ができたように思います。

普段から、親が元気でも月1回は親と一緒に同じ場所に出かけてみてください。すると「先月できていたことが、今月はできない」などの変化に気づきやすいんです。たまにしか会わないと、様々な症状の変化に気づくのが遅れ、家がゴミ屋敷になるまで認知症に気づかなかったケースもよくある話です。不安なことを後回しにせず、一度現実と向き合って最悪の事態を想定する。社会との接点が乏しい男性ほど孤立するので、そのシミュレーションはしておいたほうがいいと思います。

子どもに迷惑をかけたくないと言う親もいますが、実際何かあれば必ず子どもに連絡が来ます。仮に親が「介護は身内でやるもの」みたいなことを言ってきたとしても、共依存による共倒れを防ぐためにも、第三者を入れることはとても大切です。

わが家では、Amazon Echo Showやスマホアプリなどを積極的に活用しています。予定を登録しておくと親の家にあるアレクサが知らせてくれるので、父との「今日の予定は何?」という確認が減ります。連絡が取れなくなった時には強制通話もできるので、わざわざ実家まで確認に行く手間も減ります。タクシーアプリもお勧めです。私がタクシーを呼ぶたびに、来た、乗った、降りた、精算と全部把握できるので、毎回「乗ったの?」などの確認の接点が減ります。テクノロジーを最大限に活用し、確認の接点を減らすことでイライラの種を摘んでくれるのです。

老いていく親を見るのはとても辛いものです。つい「何でできないの?」「だから言ったじゃない」と、私たちはすぐ不安を怒りに変えてしまいます。しかし、こういった怒りを冷静に分析してみると、自分が安心したいという欲望の押し付けの感情からくるものだったりします。私も最初は喧嘩して何カ月も連絡を取らないこともありました。今では「そうだね」と無責任に親に同調する術を身につけました。思い通りにならなくても、世話がかかる大物タレントだと思えば腹も立たなくなりますよ(笑)。

結局、最終的に人を生かすのは自身の好奇心が大事だと思います。一日中ソファーに寝ながらテレビを観ていればお腹もすかないし、筋肉も落ちて動けなくなります。特にパートナーとの死別は老人性鬱になることもあります。親と自分は別の人間だと理解し、親と自分の最適解を探っていくことが長く続ける介護のコツなのかもしれません。

著書紹介

ジェーン・スー『介護未満の父に起きたこと』(新潮社刊)

<ジェーン・スーさん>Tシャツ¥20,900 カーディガン¥36,300 パンツ¥42,900(すべてZUCCa/A-net inc.) イヤーカフ¥647,900(TASAKI) 他、本人私物

撮影/清水将之 ヘア・メーク/yumi(ThreePEACE)スタイリスト/宮崎真純(likkle more)イラスト/岡田 丈 取材/北野法子、香取紗英子 ※情報は2026年10月号掲載時のものです。

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