脳科学者が教える、YouTube&テレビで子どもの脳を鍛える方法

ーーおうち時間が長い今、いつもよりテレビやyoutubeなど動画コンテンツに頼りがち。つい、子どもへの影響が気になるところです。そこで10万部超ベストセラー『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)の著者である脳科学者・瀧靖之先生に、子どもの脳を育てる「動画コンテンツの上手な使い方」を聞きしました!(前回「脳を鍛える5つのおうち遊び」記事はこちらから


動画コンテンツは、上手に使えば脳を鍛えるのに役立つ!

 

IoTやAIが当たり前になってくるこれからの時代。まったく動画に触れさせないのはナンセンス。ネット=悪いものと決めつけるのではなく、たくさんのコンテンツや情報が溢れる中で、どれを選びとるかの判断力をママとパパも養っていかなければなりません。

動画コンテンツは使い方次第! 上手に使えば脳を鍛えるのに役立ちます。教育に直結するもの以外は悪いと判断せず、子どもが外に対して興味の持てるものを少し優先するような意識で見るものを選んであげてください。

 

スポーツ実演や楽器演奏YouTubeで脳の「運動野」を刺激して! 

YouTubeでオススメなのが、スポーツや楽器演奏の動画です。運動野は3〜5歳前後に発達のピークを迎えます。この時に体を動かしたり、楽器に触れたりすることで、効率よく身体面の能力を大きく伸ばすことができるのです。

 

例えば、ダンスや体操のYouTube。簡単なものを見ながら真似するだけでも十分効果が。上手い人が鮮やかにこなす姿を目にすることで、子どもの脳にいいイメーが定着し、「できる」ことに繋がりやすくなります。

逆上がりやサッカーのドリブルなど、子どもが興味をもつ分野があれば、それを見せてあげるのもいいですね!

もし楽器をならっていたり、興味があるなら、演奏動画もオススメ。

そもそも楽器演奏は、子どもの脳の成長に非常にいい効果があります。演奏するときに必要な指先や手首の細かい動作を巧緻運動といいますが、これを司るのも運動野。ピアノなら、左右の脳をつなぐ「脳梁」、脳と手をつなぐ「錐体路」という神経ネットワークの発達も促します。

上手な演奏を目にすることで、模倣の力により子どものパフォーマンスも脳の成長もより一層、期待できるのです。

生きもののテレビやDVDで知的好奇心を刺激してあげよう

私は「賢い子は好奇心が強い子」と考えています、知的好奇心は脳の発達に非常に有用なもののひとつです。

テレビには、映像だからこそ伝わる知識や迫力があります。親は、アニメよりも子どもの好奇心をくすぐり、現実の外の世界に興味を向けてあげるような内容を少し意識して選んでみてください。

 

生きものや自然のドキュメンタリー以外でも、電車や働く車、動物の赤ちゃん、子ども向け料理番組etc..民放の動物バラエティや冒険バラエティ番組だっていいと思います。映像を通して、「自分が知らないこんな外の世界があるんだ!」と新鮮な驚きを感じることは知的好奇心を刺激し、脳の発達にもプラスになります。

 

私のおすすめは、NHKの「ダーウィンが来た!」です。私は、好奇心を育てるアイテムとして図鑑を提案してきましたが、こちらはまさにその映像版といえるもの。子ども向けに生きものの生態をユーモラスに紹介する番組です。世界の秘境に暮らす珍獣から、日本の身近な生きものまで、動物たちのスゴ技や可愛い赤ちゃんの映像は、子どもの「知りたい!気になる!」気持ちを引き出してくれます。

 

動画の後は、トランポリンで切り替えが上手くいく!

 

youtubeやテレビは子どもの興味に任せていると、楽しくて抜けられなくなる危険があります。見せる前に、必ず触れる時間を約束しておきましょう。また、液晶画面の見過ぎは、液晶のブルーライトにより睡眠の質を下げるので、寝る前に見せるのはできるだけ避けてください。

熱中して動画を見た後におすすめなのが、トランポリンや縄跳びなど単調な運動をすること。頭を空っぽにして無心でできる単調な繰り返し運動は、脳を休めて気分をスッキリさせ、次の予定に気持ちを切り替えやすくなる効果が。また運動習慣は新しい脳細胞を作り出し、注意力や集中力、記憶力も高まると言われています。

子どもだけでなく、大人がしても効果があるので、親子でぜひやってみてくださいね。

前回の「子どもの脳を鍛える5つのおうち遊び」はこちらから!

 

取材・文/北山えいみ

瀧靖之先生プロフィール

東北大学加齢医学研究所教授。医師。これまでに約16万人の脳画像を読影・解析したデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。最新の脳研究と自らの子育て経験をもとに“科学的な子育て法”を提案している。著書『賢い子に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を突破するベストセラーに。テレビ東京「主治医が見つかる診療所」、NHKNHKスペシャル」「あさイチ」、TBS「駆け込みドクター!」などメディア出演も多数。