【京大卒 宝槻流スゴイ知育連載vol.5】依存型ゲーム沼にハマった子ども、どうしたら自発的熱中にもっていける?
こんにちは。探求学舎の宝槻泰伸です。
4回目では、創造力を刺激する“自発的熱中”、それは子どもたちが好きなゲームからでも引き出せるお話をしましたね! そして沼のような“依存型熱中”からは子どもを引き剥がさないといけないお話も……。
今回は、“依存型熱中”にはまってしまった子どもに、何をすれば“自発的熱中”に導けるのか?というお話をします。
前回もお話ししましたが、依存型の熱中を誘うゲームや動画は、熱中してもらうことでビジネスが成り立っています。たくさん見てもらうことやのめり込んでもらうことで広告主からお金が入ってくるシステムですから、力のかぎりを尽くして子どもを熱中させるべく『面白い』と思わせるものを繰り出してくるわけです。
この誘惑に、子どもだけで抗うことは不可能です!
親御さんは、ただ「やめなさい!」とか「勉強しなさい!」と怒鳴るだけでは、この誘惑から子どもを引き離すことはできません。
これは親も腹をくくるしかないのです。
ではどうするか? まずはきっかけづくりですね。
とにかく考えられる限りの、経験や体験をさせること。海や山に連れ出したり、一緒にスポーツ観戦に行ったり。今は感染症の影響で、少し難しいかもしれませんが、サマースクールみたいなものに送り出すのもいいかもしれません。子どもが興味を持ちそうなことをどんどん提案していきます。空振りも多いかもしれませんが、子どもの反応を見ることが目的なので、数打てば当たるという気持ちでうまくいかなくてもへこたれず続けてみることです。
さて、面白がることが見つかった!よしこれで安心だ!
……そうは問屋がおろしません(笑)。ここからが本番なんです。
子どもが興味を持ったことを持続させること。
「これだ!」と思ったことを深掘りできるように、次々に課題を提案し続ける。
ここでも親の提案力が問われるところです。
例えば……身近なことで考えてみましょうか。
プラネタリウムに一緒に行って大興奮!「夏の大三角どれかなー?」なんて、観に行った夜は話していたけれど翌日にはコロッと忘れてテレビに夢中になってしまう。そこで終わらせないためには、「星座盤買ってきたから今夜本当に同じように星が見られるか確かめてみない?」とか、「面白い図鑑あったよ」と渡してみたりとか。ここでも少しの間は子どもは興味を示すかもしれませんが、またポイっとなる。その前にすかさず、「“宇宙兄弟”っていう漫画面白いよ?」と買ってきて親も一緒に読む。「映画借りてきたよ」と“アポロ13”を一緒に観る。ロケット面白いねなんて話になったら、「JAXAに今度行ってみようか?」と盛り上がる。
そうこうしているうちに、子どもはだんだん自分で「こうしたい」や「これ行ってみたい」となってきます。そうなれば、あとは親は“自発的熱中”のサイクルに入った子どもがやりたがることを応援すれば良いのです。ただ、この親の提案力で注意するべきポイントは、「面白い」が絶対条件だということ。効果を期待するあまり、教訓めいたことに偏っては逆効果!プラネタリウムが面白かったといって、いきなり教科書みたいな図鑑を渡されても読む気にはなれません。
イラストや漫画、映像など、ハードルを下げて、子どもをとことん面白がせてあげましょう。そして、提案している間は親御さんも一緒に楽しむことも大切ですよ!
最近の宝槻家の熱中アイテムはコレ!
長男は、「神の数式」「100年の難問に挑む」といった数学のDVDを購入。これが長男にドはまりし、学校で次々と数学の本を借りてくるようになっています。
長女は、スマートペンを渡したら、たちまち夢中になり、デジタルのお絵かきの時間が増え、結果、動画コンテンツ視聴時間が減りました!
みなさまのヒントになれば幸いですが、宝槻家ではこれからも、子どもの成長や好きに合わせて、随時子どもたちに熱中提案をしていく予定です。
〈次回へ続く〉
宝槻泰伸(ほうつき・やすのぶ)
1981年東京都生まれ。京都大学経済学部卒業。探究学舎代表。幼少期から「探究心に火がつけば子どもは自ら学び始める」がモットーの型破りな父親の教育を受け、高校を中退し京大に進学。代表を務める探究学舎は子どもたちの“驚き”と“感動”の詰まった授業として、三鷹市を拠点とした教室のほか、オンラインでも世界的な人気を集める。’19年「情熱大陸」に出演、’21年「TEDX」に登壇。5児の父。
取材/竹永久美子