憧れ時計ブランドの女性リーダーが選んできた”力をくれる時計”とは
憧れ時計ブランドのリーダーたちの多くはSTORY世代の女性です。そんな彼女たちが、自分のために選んだ時計とは?キャリアもプライベートも全力疾走する日々を共にしてきた、時計にまつわるエピソードを伺ってみました。
THIS MONTH’S LEADERS FILE:安達美里さん
自分の人生は自分で舵取りしたい。時計は、そんな私の背中を常に押してくれる存在
安達美里さん
ブチェラッティ ジャパン CEO。2006年東京大学卒業後、テレビ朝日報道局へ入社。2011年に退職後私費でMIT留学。MIT卒業後外資系コンサルティング会社勤務ののち、2017年リシュモンジャパン入社。ボーム&メルシエを経て、2021年ブチェラッティ ジャパンCEOに。現在第二子妊娠中で秋に出産予定。
ファーストウォッチは大学の入学祝いに両親から贈られたロンジン。当時は時計に対して特別な思い入れはなく、スイス製でスクエアフェイスのデザインがしっくりきました。
幼少期からジャーナリストの世界に興味があって、報道の現場で働くことを目指していました。卒業後は念願が叶いテレビ局の報道記者に。憧れの職場だったのですが、事件や事故現場で社会の課題や矛盾が山積みになっていることを目の当たりにして、自分の不甲斐なさに心が揺らぎ「報道とは」を自問する日々でした。
そんな中で伝えるだけではなく、視野を広げ、どこの国にいても社会貢献ができる人に成長しなければという思いが湧き上がってきて、テレビ局を退職して米国大学院留学の道へ進みました。
卒業後は「自分の人生は自分で舵取りできるようになりたい」と考え、そのために必要なビジネススキルが短期間で磨ける外資系のコンサルティング会社へ。ここに4年間勤めたのち、転職先として選んだのがリシュモンジャパン傘下のウォッチブランド「ボーム&メルシエ」になります。
全くの異業種ですが、転職の動機は時計やジュエリーは人の幸せの節目に立ち会えるポジティブでハッピーなプロダクトだという部分に魅力を感じたこと。ボーム&メルシエではGMとして2年間過ごしたのちに産休に入って、37歳で第一子を出産。産休後の復帰のタイミングでリシュモンから打診されたのがブチェラッティ ジャパンのCEOでした。
<安達さんのパワーウォッチ①>A. ランゲ&ゾーネ リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ
ブランドへの尊敬の思いから第二子妊娠をきっかけに入手
第二子妊娠を言い訳に思い切ったのがA.ランゲ&ゾーネのリトル・ランゲ1・ムーンフェイズ。A.ランゲ&ゾーネは生み出すプロダクトや背景のストーリー全てに憧れ、尊敬するブランド。リトル・ランゲ1は複雑機械式時計と品格が両立するデザインに魅力を感じています。
A.ランゲ&ゾーネはムーブメントを含めた全てを自社で一貫製造体制をとる「マニュファクチュール」と呼ばれる数少ない時計ブランドのひとつ。時計・ジュエリー業界に身を置くようになりリアリティを持って感じるのですが、これって物凄い偉業なんです。他メゾンのプロダクトから気づきを与えられることも多く、これから迎える40代をともに歩んでいきたい1本です。
<安達さんのパワーウォッチ②>ブチェラッティ〝マクリ〟ウォッチ/WG
CEO就任時に決意を込めて選んだ1本
日本でのブランドの再出発が決まった直後だったので、CEOといっても一人部隊。未知の状態でしたが、いち早くブランドのDNAを実感したいと手に入れたのがアイコンでもある「マクリ」のウォッチです。ブレスレットに刻まれている細いラインは職人によって手彫りされているんですよ。身につけるたびにその技術力とデザインの素晴らしさを感じています。
マクリは〝金細工の魔術師〟と呼ばれるブチェラッティの高度な彫金技術を体感できる人気のシリーズ。マットな質感のホワイトゴールドと小さな星形のロゼットにはめ込まれたダイヤの輝きの対比がポイントです。熟練の職人の手によってハンドメイドで製造。1世紀を超える歴史を持つブランドですが様々な革新を続けてきたからこそ今に至っています。
<安達さんのパワーウォッチ③>ブチェラッティ〝マクリ〟ウォッチ /YG
読者には一生愛せるイエローゴールドを
これからはブチェラッティ ジャパンのCEOとして、時計・ジュエリーという人生の節目に立ち合える商品を笑顔でお客様の元に直接届けられることを感謝しつつ、手にした方の幸せを広げるお手伝いができればと願っています。それが今、私にできる社会貢献だと思うのです。
ベゼルとブレスレットにダイヤモンドが輝くゴージャスなモデル。ゴールド部分は「リガート」と「オルナート」と呼ばれるふたつの異なる手法で細かな線が手彫りされています。「マクリ ウォッチ」〈YG×ダイヤモンド×MOP、ケース径24㎜、スイスクォーツ〉¥2,420,000(ブチェラッティ)
撮影/西崎博哉(MOUSTACHE) ヘア・メーク/陶山恵実(ROI) 取材/安西繁美 ※情報は2022年10月号掲載時のものです。
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