【メンズモデル】『プレバト!!』出演……やっぱり絵を描くことが好き

久保田裕之さん「ひとり時間の過ごし方」

「MEN’S CLUB」や「OCEANS」など、数多くのメンズファッション雑誌や広告などで活躍する久保田裕之さんは、モデル歴22年。実生活では、3人の男の子を育てる優しい父親でもあり、家族5人で出演した家電メーカーのCMでは、仲睦まじい姿が話題になりました。昨年、久保田さんが一躍注目されたのがバラエティ番組『プレバト‼︎』(毎日放送)の「才能査定ランキング」のコーナー。「色鉛筆画」の査定で見事2位となり、“特待生”として認められました。最近は、この魅力的な才能を生かした“ひとり時間”を大切にしているそうです。

PROFILE

くぼた・ひろゆき/1981年5月17日生まれ、埼玉県出身。東京造形大学美術油絵学科卒。在学中に19歳でモデルとしてデビューし、以後、数々のファッション誌に多数出演。日本のみならずアジアでも広告モデルとして活躍している。趣味はほかにゴルフ、アウトドアなど。埼⽟県加須市観光⼤使。最近、インスタグラムで同じモデル仲間とスーツ姿でぎこちなくダンスする「OJI-4(仮)」の活動も話題。
Instagram  @hiroyuki_kubota_
公式ブログ「久保田家パパ日記」 https://ameblo.jp/hiroyuki-kubota/

「浪人時代は始発電車で美大予備校に通っていました」

姉の高校時代の友人に美術科の学生がいて、その彼が透明ケースに入れて持つ、青色のステッドラーの鉛筆がものすごくカッコよくて……。その姿に憧れて、僕も美術科の高校を目指しました(笑)。
いちばん絵を描いていたのは高校から浪人時代のころですね。現役では不合格となり、浪人時代は“あの漫画”のように一日中絵を描いていました。朝は始発で予備校に行って、石膏像をデッサンするための場所取りをしなくちゃいけない。失敗すると、一日中描きづらい場所で作業しなければいけないから大変なんですね。そのおかげもあって、無事一浪で東京造形大学に合格できました。

『プレバト!!』への挑戦が変えた「ひとり時間」

大学在学中に、ファッション誌で見つけたモデルオーディションに応募したのをきっかけに、19歳から本格的にモデルを始めました。絵のほうは美術の教職資格は取ったもののそれっきりで……大学卒業後は絵を描く機会はなかったですね。

久しぶりに絵を描くことになったのは、新型コロナの影響で家族と一緒にいる時間が増えたから。長男が絵を描いているとき、「パパに貸してごらん」と鉛筆で絵を描いてみたら、それが案外楽しくて。その絵を何気なくSNSに投稿してみたら、いいね👍がたくさん。絵を描いて人に喜んでもらえるのはうれしいなと思っていたときに観たのが『プレバト‼︎』でした。「挑戦してみたい」という気持ちが湧いてきたので、すぐに番組宛に手紙を書いたんです。しかも「ご意見・ご感想」の宛先に(笑)。読んでもらえるかわからなかったから、オファーが届いたときは驚いたし、うれしさで涙が溢れましたね。
初めての課題はサンドイッチ。白いケント紙にパンの白さと柔らかさを表現するのに苦労しました。自薦で出演させてもらったこともあり、1位で特待生になる以外は許されない!と思っていたので、結果が2位で焦りました。(ダウンタウンの)浜田さんに土下座しなければと覚悟(笑)。それでも、まさかの展開で特待生に選んでいただき、道が繋がったんです。

番組に出ていちばんよかったのは、家族や両親が喜んでくれたことかな。学んできたことの成果をようやく見せることができました。放送後、実家の電話が鳴り止まなかったみたいでした。

「絵を描く時間は、自分を見つめることができる贅沢なひととき」

絵を描く時間はとっても贅沢な時間。自宅だと家族と過ごす時間が大半で、ひとり時間は貴重です。ダラダラ寝てもいいし買い物に行ってもいい。いろいろな選択肢があるなかで、あえて僕は絵を描く時間に充てています。それは純粋に好きだからでもありますが、絵を描くことで自分と向き合えるからかもしれません。絵を描くときに大切なのは、想像力を働かせること。見てわかる色や形だけではなく、対象の温度や質感、香りなど、自分が感じたものを写し出すのが絵画の醍醐味だと思っています。カッコつけた言い方かもしれませんが、自分の感性を表現することは自分自身との対話。そんな時間がニュートラルな自分を保ってくれることで、家族にも仕事にも真剣に向き合えると思っています。

色鉛筆画を描くことになって揃えた「ホルベイン」の36色。

浪人中ずっと使用していたステッドラーのデッサン用鉛筆はまだ現役

撮影/石田純子(光文社写真室) 取材・文/小石原悠介