服を1000枚以上捨てた【服捨て】昼田祥子さん「自分主体で物事を考えられるようになった」
堀田茜が「30代になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載。今回は、「服はあるのに着たい服がない」という30代の“あるある”な悩みにフォーカスします。服を手放したことで人生が変わったという昼田祥子さんに、ワードローブを整えるヒントを伺いました。
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「服はあるのに着たい服がない」という声をよく聞きます。なんとなくで買うのをやめて、必要のない服を手放せば好きなものだけに囲まれた生活が送れるはず…!服をたくさん手放して人生が変わったと話す昼田祥子さんとお話ししました。
〈今月話し合いたいこと〉 「服はあるのに着たい服がない」という 悩みが“あるある”なのは何故?
自分の選択に熱量はあるか。誰かのおすすめをそのまま買っても着たい服にはならないかも
堀田:昼田さんは「1000枚以上の服を捨てて人生が変わった」とお伺いして、整理整頓好きとしてはお話をしたかったのでうれしいです。
昼田:私も堀田さんが整理整頓好きと事前にお伺いして、それだけで親近感が湧いてしまったし、こうして実際にお会いしてみても雰囲気から「そうなんだろうな」と感じるものがあります。整理整頓がお好きな人って、見てわかりませんか?
堀田:え!わかります!本当にそうですよね。
昼田:何が、と言われると言語化は難しいけれど!
堀田:佇まいとか纏うオーラで伝わるものがありますよね。これが共感できるなんてうれしいです。昼田さんは何がきっかけで服を手放すことになったのですか?
昼田:もともとは私は物持ち。ファッション誌の編集者だったこともあり服を買うことを止めたことがなかったし、相当な金額を注ぎ込んだし、たくさん持っていることに価値を感じていたし、それは「誰かによく見られたい」願望からだったとも思います。
それが真逆になったのはフリーランスになったことがきっかけ。フリーランスって仕事に自由があると思っていたら全然そんなことはなくて、どんな仕事をしても最終決定権は自分にないと感じて。その思い通りにいかなさに行き詰まりを感じてしまって…。それなのに仕事も服も何も変えられない自分、捨てられない自分、物ひとつ動かせない自分であることが悔しかった。私はこんなこともできないのか…と自省して、その反動から「もういいや、全部捨ててやる!」と、服を捨ててみたことがはじまりです。それまでの自分と真逆の選択をした。変なはじまりなんです。
堀田:その後手元に残った服はたった50着ほどだったと以前の著書にも書かれていましたが、1000枚以上も服があったなら、思い入れがあるものはどうされたのですか?
昼田:物事を手放せる自分になりたかったので、1着ずつ向き合って、少しずつ減らしていきましたよ。それまでの自分を超えるような感覚がともなう経験でしたね。堀田さんの整理整頓好きはいつからですか?
堀田:私は子供の頃から整理整頓好きなんです。ただ20代の頃は、欲しいと思った服はよく考えずに買ったこともあるし、買ったそばから次のものが欲しくなるという若さゆえの経験もしてきているので、なんとなくで買ってしまう感覚とか「服はあるのに着たい服がない」悩みもわかります。だからいつかはいらない服が出てくるわけで、捨てる選択をしたものはいつも“手頃な価格だからなんとなく買った”ものでした。あるときそれがすごく虚しくなって。だったら、厳選して買って、ひとつのものを長く大切にする人のほうがカッコいいなと思考をシフトして、買物の仕方が変わりました。だからといって高いものしか買わないというわけではなくて。長年愛用しているファストファッションブランドの服もあります。値段やブランドがどうということじゃなくて、ひとつのものにどれだけの熱量を持てるかで、ファッションは素敵になるんじゃないかなって。
昼田:私もファストファッションブランドで長く愛用しているものに対しては「いい買物した!やった!」と年数が経つほどに思います(笑)。今って常にSNSで誰かのおすすめが流れていて惹かれることもあるけれど、実は商品に魅力を感じているよりも、堂々とおすすめしているその人の熱量や自信に惹かれている場合が多い。欲しいのは商品じゃなくて、自分の選択をいいと思える自分だと思うんですよ。だから誰かがおすすめするものをそのまま買っても、その商品は自分にとって意味がない。堀田さんの言うように、自分の選択に熱量があるかどうか考えて、欲しい理由を語れるくらいに自信を持てば「服はあるのに着たい服がない」現象からは遠ざかっていくんじゃないでしょうか。
これじゃなきゃ! と思える服だけを揃えると 人生も好きなことに囲まれますよ
服を手放すと迷いが消えて 生活のすべてに深みが出る
堀田:服をたくさん手放してから、人生にどんな変化がありましたか?
昼田:他人の物差しではなく、自分の心で動けるようになりました。一着の服・ひとつのものを真剣に選んで深く付き合うようになると、その他の物事もそうなっていくんですよね。自分はどうなりたいんだろう、どの道を行きたいんだろうと、自分主体で物事を考えられるようになった。人目を気にしていた自分から、自分のやりたいことをどんどん叶えていくフェーズに入ったので、それはもう楽しさしかないです。家族との関係性も深くなりましたよ。そうなると、ネットショッピングに時間を溶かすこともなくなるので、違うことに時間を使えるようになる。欲しいものを探しているときって、気の迷いがあるってことですからね。
堀田:本当ですね。今はもう迷うことはないですか?
昼田:ありますよ。ありますけど、そのスパンはどんどん短くなっています。
堀田:私もSNSを見ていると誘惑が多くて、自分らしくないものを可愛い!欲しい!と思うこともあったりして。昼田さんの言ったように、誰かのおすすめに惹かれることもあります。自分らしさを意識するようになってからはそういうものになびくことは減りましたけど、どうしても欲しいときはそれはそれでアリかなって。「似合わないけど可愛いから持ってていいもの」として所有していい数を決めてあります(笑)。
昼田:そういうのありますよね(笑)。そういうときって、今に飽きてるんですよね。普段選ばないものって、なんだか違う自分になれそうな高揚感があるじゃないですか。だから、同じことをやり続けていないか自分に問う機会かも。
堀田:服を選び取る話から人生の話につながっていくのがおもしろいですね。昼田さんの最新著書でも、最後のほうでは自分を取り囲む物事やまわりの人の話につながっていましたよね。私も物を選び取って生きることはSDGsにつながっていく感覚があります。
昼田:不思議と身の回りのことに視点がいきますよね。迷いがなくなると時間的余裕が生まれて、自分以外の物事を考える余裕ができるからかな。迷いがあるって、時間的ロスが多くて余裕もなくなっちゃうから。
堀田:CLASSY.読者の中にも迷いを抱えている人がいると思うのですが、迷いをなくすためには何からはじめたらいいと思いますか。
昼田:自分の選択に自信を持つこと。服に話を戻すと、やっぱり自信がないから迷ってたくさん買いまくるんですよね。その結果「服はたくさんあるのに着たい服がない」。では選択に対して自信をどうすれば持てるかといったら、いらないものを手放していくこと。最後には自分の本心だけが残りますから。とりあえずやってみて、できなかったらできないでもいいんです。向き合って、自分が何に迷うかを知るだけでも、その後の選択が変わっていきます。
堀田:好き嫌いを分けるだけでもいいですよね。私は処分するか迷ったものを入れる保留ボックスを作っていて、3カ月後に見直してみて、そのときにいらなかったら手放すことにしているのですが、すぐ判断できなくてもいい、いつかできればいいって思います。なにごともそれでいいと思うんです。それに処分してしまったとして「あれ捨てなきゃ良かったな」と思うことはあっても、すぐ忘れてしまうものが大半だから。
昼田:本当ですね。これを積み重ねていくと自己理解につながっていくし、流されなくなる。「欲しい」の感情への重みが変わってくる。選ぶ勇気を持つのが第一歩じゃないでしょうか。
堀田:選択肢が多い時代だからこそかもしれないですね。整理整頓のお話から人生観にまで話が及んでおもしろかったです。ありがとうございました。
対談したのは…
Sachiko Hiruta
ひるたさちこ●ファッションエディター・ライフプロデューサー。出版社勤務を経てフリーランスに。2016年に大規模なクローゼットの片付けに着手。1000枚近くあった洋服を50枚に減らした経験を綴った著書『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』(講談社)が大反響を呼び、NHK『あさイチ』などメディア出演も多数。
最新著書「服捨て 自分を解き放つメソッド」(講談社)も好評発売中。
Akane Hotta
ほったあかね●モデル、俳優。1992年10月26日生まれ、東京都出身。CLASSY.をはじめ多くの女性ファッション誌、ドラマに出演。「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ)レギュラー。『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』(J-WAVE)ナビゲーター。2024年4月に結婚。SHIPS×堀田茜コラボ服も発売中。
〈茜衣装〉トップス¥9,350(LAGUNAMOON/LAGUNAMOON ルミネ新宿) ※昼田さんの衣装は本人私物です。ブラウスは以前購入したドゥロワーのもの。
撮影/杉本大希 スタイリング/川瀬英里奈 ヘアメイク/TONOE 取材/野田春香 編集/小林麻衣子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年8月号「堀田茜のほったらかしにしたらアカン!」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。
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