吉田羊さん「結婚しなかったからこそ得られた喜びを数えたい」自分の選択を正解にする生き方【ドラマ10『会社員』】

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キャリアを築くこと、自分らしく生きること、そして他者に寄り添うこと──。働くなかで誰しもが直面する葛藤を、とある事件をきっかけに展開するサスペンスに絡めて描く、ドラマ10『会社員』が放送中です。本作で主人公・英理子を演じる吉田さんに、ご自身の歩みを振り返っていただきました。20代からこの世界に入り、50代となり見えてきたものとは。

◆インタビュー前編はこちら

▶吉田羊さん「時間をかけて話し合えば分かり合える」ハラスメントに敏感な時代でも諦めたくないこと【ドラマ10『会社員』】

Profile

2月3日生まれ、福岡県出身。2001年に俳優としてキャリアをスタートさせ、『映画ビリギャル』で日本アカデミー賞とブルーリボン賞で助演女優賞を受賞し、注目を集める。以降の主な出演作に、NHK大河ドラマ『光る君へ』、『不適切にもほどがある!』、『俺のこと、なんか言ってた?』、映画では『白鳥とコウモリ』、『さとこはいつも』、『わたしの知らない子どもたち』など。映画『日曜のあと』が11月20日公開。

選んだ道は、自分で正解にしていくしかない

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—キャリアについてや結婚・出産など、20代後半から30代前半は多くの人にとって転換期の1つでもあると思います。吉田さんは、当時どのような心境でしたか?

実は、学生の頃に「結婚したいな」と思った人がいたんです。でも、私はお芝居を始めたばかりのころだったので、結婚するか、俳優になるかという選択をしなければならなくて…。そして、私は「お芝居」を選ぶと同時に、「結婚」を手放しました。そのおかげで得られた出会いや経験、喜びがあるし、もちろんこの道を選んでよかったと思っています。でも、時々ふと「もしあのとき結婚してたらどんな人生だったのかな」と振り返ることもあります。

—「あのときああしていれば…」と思うこと、ありますよね。

SNSが発達したことで、周りの人の生活が見えるようになったからこそ、自分が持っていないものを他人が持っていると、うらやましく感じる気持ちはもちろん分かります。でも、結局は、自分が選び取った道を、自分で正解にしていくしかないんですよね。それなら、私は「結婚しなかったからこそ得られた喜び」を数えたいなって。それに、今、結婚する意思があるかどうかは別として、結婚を諦めているわけではないし、「この先にチャンスがあるかも」と前向きに捉えています。

—反対に、結婚している人も、また別の生き方をうらやましく思っているかもしれないし、ないものねだりですね。

こればかりは、お互い様ですよね。うらやむこと自体は仕方がないにしても、最終的にはそれぞれの人生を尊重できる社会でありたいなって。自分の価値観がすべてではない、ということを念頭に置いた上で、人と接することが大事だと感じています。

—それは、会社人間として生きてきた英理子にも言えることですよね。

本当にそうです(笑)。英理子は後輩や上司にとって、目の上のたんこぶのような存在。でも、るり(南沙良)さんのような存在が目の前にいるおかげで、「これが正解なのか」と自分自身に問い続けられているのだと思います。

20代の私へ「人の話を聞け!」完璧な鎧をまとっていた理由

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—吉田さんが、20代の頃の自分に何か言葉をかけるとしたら、なんと言ってあげたいですか?

「人の話を聞け!」ですね(笑)。若い頃は「自分のことを知ってほしい」という気持ちが先行していて、自分を発信することに重きを置いていたように思うんです。でも、当時もっと周りの人の言葉に耳を傾けていたら、また違う場所にたどり着けていたんじゃないかな、と思うことがあって。だから、まずは人の話を聞くこと。そして、余力があれば自分の話をしなさい、と言ってあげたいです。

—お芝居をするうえで、自分の正解を決めていた?

そうなんです。自分のやりたいことを主張しすぎていたな、って。きっと、当時の私は自分に自信がなかったんだと思います。そんな自分に気づかれたくなくて、完璧な鎧をまとって挑むことが、私なりの戦い方だったのかもしれません。

—弱い自分を悟られないように、強い自分に見せようとされていたのですね。

臆病だったからこそ、ですね。でも、現場を重ねていくうえで、自分の考えだけではなく、監督や共演者、あるいは視聴者のみなさんの意見を取り入れることで、新しいものが生まれると知ったんです。分からないことを共有することで見えてくるものがあると分かり、「自分だけで頑張らなくていいんだ」と気づくことができました。

「あと何本出られるだろう」カウントダウンを意識して変えた働き方

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—主人公の英理子のように、吉田さん自身も20代の頃はプライベートの時間を削り、仕事に集中していたのですか?

私は舞台から映像の世界へ移ったのが遅かったので、映像の世界に入りたてのころは、とにかく仕事をいただけるだけでありがたかったし、もっとたくさんお仕事がしたいと思っていました。その思いが強すぎて、例えば体を壊していたとしても気づかず、むしろ、その痛みを生きている実感につなげながら走り続けていたように思います。きっと、自分では気づかないうちに、心身ともに無理をしていたんじゃないかな。

—立ち止まることができるようになったのは、いつごろからですか?

実は、つい最近のことなんです。映画『遠い山なみの光』への出演が決まったときなので、2年くらい前かな? ほぼ全編、ブリティッシュ英語でセリフを話さなければならなくて、準備にすごく時間がかかったんです。でも、だからこそ自分の中でも大きな充実感があったし、しっかり準備をした状態で現場に入れたことが、本当に幸せだったんです。そして、今の私には「これが正解なんだな」と気づきました。

—それが今のご自身にとって、ベストな働き方だと感じられたのですね。

年齢を重ねるにつれて、体力面も考えると、作品に入る際は、よりじっくりと準備をして向き合う必要があると感じるようになりました。そう考えたとき、「この先、あと何本の作品に出演できるのだろう」と思うようになったんです。私も、そうしたカウントダウンを意識するフェーズに入ってきたんじゃないかな、って。だからこそ、自分がきちんと作品と向き合えるペースでお仕事をしていきたいと思うようになりました。

誰にも褒められなくても、自分をたくさん褒めてあげる

Information

ドラマ10『会社員』
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜放送中。突然届いた脅迫文が、主人公・英理子(吉田羊)のキャリアと組織を揺るがすオフィス・サスペンス。野心を持ち、男性組織を駆け上がった英理子が直面する、組織で働くことの意味と自身の存在価値とは——。

<衣装>
ジャケット¥283,800ブラウス¥146,300 パンツ¥151,800(すべてヌメロ ヴェントゥーノ/IZA tel.0120-135-015)右手人差し指リング¥250,800ピアス¥100,100(ともにヒロタカジュエリー/ヒロタカ 表参道ヒルズ tel.03-3478-1830)

撮影/山村祐太郎 ヘアメイク/中野明海 スタイリング/石井あすか 取材/小林揚 編集/宮島彰子

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