40代の“メンタル不調”は当たり前、と気づくことが大事【徳澤直子さん×宋美玄先生】

カラダの変わり目を迎える40代。カラダ、メンタルのプチ不調との向き合い方や、カラダの声に敏感でいるために意識すべきこと。医師の宋美玄先生と、看護師・助産師の資格を持つ徳澤直子さんのスペシャル対談でお届けします。

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お二人のプロフィール

<右>徳澤直子さん
1984年生まれ。神奈川県出身。17歳でモデルデビューし、「SEVENTEEN」、「CanCam」を中心に活躍。2013年に聖路加看護大学(現:聖路加国際大学)に入学。卒業後は、同大学大学院に進学し、看護師と助産師の国家資格を取得。コロナ禍には総合病院勤務も経験。現在は、モデル業と並行してウェルネス関連の活動にも注力。2人の子を持つ母。

<左>宋 美玄先生
1976年生まれ。兵庫県出身。大阪大学医学部医学科を卒業後、大阪大学産婦人科入局。2017年、丸の内の森レディースクリニックを開院し、理事長/院長に就任。メディア出演やSNS発信を通じて、女性のカラダの悩み、妊娠出産、セックスなどにまつわる積極的な啓蒙活動を行っている。医療・ヘルスケア情報メディア「crumii」も運営。一男一女の母。

◇ 徳澤さんから質問1:先生ご自身は40代で起こったカラダの不調はありますか?

宋先生
アラフィフを迎えて、不調がどさっときました。出血があり、長年装着していたミレーナを外し血液検査をしたところ、エストラジオール(月経周期や骨代謝、精神安定に役割を果たす、女性ホルモンの一種)の値が激減。最低ラインの20を下回る15という数値でした。同時に更年期の代表的な不調である、手の痛みも起こり始め、今はホルモン補充や漢方で対処しています。子どもの反抗期や進学の心配もあり、8月はメンタルもガタ落ちでした。

徳澤さん
不調がホルモンによるものなのか、環境に付随するものなのか、混ざり合って分かりにくいのは、この世代ならではですね。

宋先生
カラダとメンタルの不調で返信や連絡が追いつかなかったので、Facebookで本調子ではないことを発信したんです。すると、大勢の友人が飲みに誘ってくれて、ありがたいことに気分転換になりました。私は、35歳と39歳で出産をしていますが、高齢出産をすると更年期と反抗期が重なって大変です。

◇ 徳澤さんから質問2:メンタル不調のときは、どう対処していますか?

宋先生
ひとりのコーヒータイムを作るようにしています。20分でもいいから、お気に入りのコーヒーショップに行って、カプチーノの写真を撮ってSNSに投稿したり、ひとりでぼーっとしたり。家族や患者さん、クリニックのスタッフなど、私の肩にはあまりにもたくさんの人が乗っていて、全員に感謝をしているけれど、余裕がなくて抱えきれないと感じたときは、自分をケアしてチューニングしています。

徳澤さん
短くてもひとりの時間が持てるだけで違いますよね。

宋先生
あとは睡眠。寝ると回復するので、可能な限り早めにベッドに入ります。目指しているのは9時間睡眠。

徳澤さん
分かります。STORY世代は、アクセルを踏み続けてしまう人が多い気がしています。私もですが、いくらでも走れちゃって、アラートがない。最近は、自分のカラダの乗りこなし方が分かってきて、コントロールもしやすくなりましたが、走り続けて突然高熱が出てエンストする、みたいなことがたまにあります。疲れていて本当は限界なのに、ジムに行ったり、人に会ったり。逆の選択もしがちでしたが、今は、積極的に休養を取るようになりました。

宋先生
私は睡眠のために、風呂キャンする日もあります。「今ぐったり眠いから、寝てしまおう」と思ったらメークだけ落として、とにかく睡眠を優先します。

徳澤さん
それも大事なカラダの声ですよね。私も睡眠を阻害する要因はなるべく排除します。スマホを見すぎないとか考えすぎないとか。直前に食事を取りすぎないことも意識しています。

宋先生
私のクリニックに来る患者さんは、場所柄、バリキャリ派が多くて「忙しいし、休めないから、手っ取り早く元気になれるサプリ、ありませんか?」と聞いてくる女性もたくさんいます。みんなすごく頑張っているし、忙しいのも分かるけれど、何より睡眠が一番効果的だと思っています。

◇ 徳澤さんから質問3:40代はプチ不調が 起こったときに更年期症状も疑いがちです。その見極めで気をつけられることはありますか?

宋先生
不調の種類にもよりますが、婦人科的には更年期とPMSの症状は似ていると捉えています。落ち込んだり、イライラしたり、寝られなかったり。まずは、生理の周期と症状を可視化すると分かりやすいと思います。周期的な不調であればPMS、周期が関係なければ更年期の症状である可能性が高い。アプリでも管理できるから、カラダの情報をキャッチしてみてください。

◇ 徳澤さんから質問4:先生のクリニックのように婦人科でメンタル不調が疑われた場合は、どう対応されているんですか?

宋先生
当院の場合は、連携している心療内科クリニックがあるので、そちらと繋いで治療を続けています。自分で適切なクリニックを探すのは大変じゃないですか?

徳澤さん
確かに情報が多いぶん、迷うし、飲み込まれたり、不安を煽られることもありますよね。メンタルが落ち込んでいると、よくない選択もしてしまいがちだから、信頼できる先生やクリニックを見つけておくことは、不調に備えるうえで重要だと思います。休んでも乗り切れないときは、専門家に頼る視点も大切にしたいです。

宋先生
私自身、みなさんの健康をサポートする仕事をしていて、それなりの専門知識もありますが、それを以てしても自分は後回しだったし、カラダが完全に悲鳴を上げるまでケアできていませんでした。同志である読者のみなさんが、頑張りすぎちゃうところは共感しますが、やっぱりカラダが資本。自分に何かあったら家庭も仕事も回らないから、こまめにカラダの声を聞いていきましょう、と伝えたいです。

徳澤さん
ストイックになる必要はないと思いますが、自分のカラダに敏感に、不調に気づくマインドを持つことは大事ですよね。〝自分のため〟だと放置しがちなので、子どものため、家族のために検診を受けたり、自らをケアできたらいいのかな、と思います。

【宋先生】ワンピース¥30,800(ELENDEEK)ピアス各¥71,500(ともにシェルビー/シェルビー 表参道)ブレスレット¥31,900リング¥231,000(ともにモニス/フォーティーン ショールーム)【徳澤さん】ニット¥44,000(ルームエイト/オットデザイン)タイブラウス¥39,000(ティーチ)パンツ¥35,200(ベッド&ブレックファスト/グリードインターナショナル)ピアス¥110,000(モニス/フォーティーン ショールーム)ゴールドリング¥19,800シルバーリング¥18,700(ともにリューク)

撮影/古水 良〈cheek one〉 ヘア・メーク/森ユキオ〈ROI〉 スタイリスト/栗尾美月 ※情報は2025年11月号掲載時のものです。

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