【藤井夏恋さんインタビュー】モデルの枠を超えて「好きを仕事にしていく」ブレない軸とは?
モデルとしての活動にとどまらず、自らのブランドを手がける実業家としての一面も持つ藤井夏恋さん。日々の中で自然と仕事のことを考え続けているというその姿勢は、特別なものではなく、“好き”という感覚の延長。ブランド運営を通して培われた仕事観や大切にしている価値観、そしてこれから描くヴィジョンについて伺いました。
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モデルとして表現することも、 感性を形にすることも
藤井夏恋さんヒストリー
2019:大手ファッションブランドより、ディレクションラインを発表
2021:起業。ファッションブランド「NEROLI」を立ち上げ、クリエイティブディレクターに就任
2023:スキンケアブランド「NEROLI LABO」をローンチ
現在:「NEROLI」はシーズンコレクションの展示・受注会、「NEROLI LABO」はポップアップイベントを定期的に開催
Memories, Played Back
初めて洋服のディレクションに携わったのは、23歳。試行錯誤の中で学びや発見を経て、自分にフィットするものづくりのスタイルを確立した夏恋さん。まずは、ブランド立ち上げのきっかけから、プレイバック。(写真はすべて本人提供)
デザイナーさんとサンプルチェック。自分が思い描く世界観をブレずにシェアしたいので、直接やりとりしています。
旅先で撮影した1枚。ボトルには、NEROLI LABOのテーマ“タイムレスビューティ”に因んで、「00:00」をラベリング。
“黒だけ”に絞った、NEROLI 2025AWコレクション。
2026SSはブランドの軸である黒と正反対のアイボリーも加え、2色のコントラストで強さとやわらかさが共存する女性像を表現。
ありがたいことに年々、お取り扱いやポップアップのお誘いをいただく機会が増えています。
黒を効かせたマットな質感のボトルで、洗面台に置いてアガるパッケージに。
ヴィジュアル撮影ではヘアメイクもディレクションしています。
『自分のスタイルでものづくりを極めたくて、起業を決意』
ブランド立ち上げに興味を抱いたのは、大手ファッションブランドでディレクションラインを手がけたことがきっかけです。コンセプトや世界観を考えることが好き、と気付けたのは自分の中でも発見でした。ご一緒していたスタッフさんからも、「自分のブランドを持ってみるのも良さそう」と言っていただき、ブランド名や商品の妄想話でよく盛り上がっていました。ゼロから自分のブランドを始める決意をしたのは、アパレルに携わって2年が経った頃。商品にとどまらず、ヴィジュアルやSNSなどのクリエイティブも含めてさらに極めたい気持ちが強くなり、起業。
ブランディングからシーズンコレクションの企画、サンプルチェックや撮影のディレクションまで、全過程にダイレクトに関わるスタイルで「NEROLI」をスタート。毎シーズン型数を決めずに納得のいくアイテムだけを展開できるのも、自社で取り組む強みのひとつ。展示会や受注会は終日在廊し、プレス関係者やお客様とのコミュニケーションも大事にしています。
「NEROLI」を通じて、多くの方と関わることで勉強になり、自分が望む方向性も明確になりました。その学びを以て2023年に「NEROLI LABO」をローンチ。元々、敏感肌の自分でも安心して使えるスキンケアをサンプルレベルで作っていて、その過程をリアルに発信したところ、多くの反響をいただき商品化。定期的に開催するポップアップでは、見せ方にもこだわりたいので設営から関わります。「NEROLI」も「NEROLI LABO」も自分のブランドだからこそ、軸にあるのは自分。プロダクトにも人にも丁寧に向き合うプロセスは、私の性格にも合っているし、事業として持続するためにもベストなスタイルだと思っています。
好きを仕事にする 楽しさと大変さ
自宅でも旅先でも、「ブランドのことを考える時間が好き」と話す夏恋さん。ノンストップな働きぶりにフォーカス。
3月19日 都内スタジオ NEROLI 2026SSヴィジュアル撮影
『アパレルでもビューティでも大事にしたいのはストーリー性』
アウトプットの際に大事にしているのは、自分の感覚。外から得たものも自分なりに受け止めながら、旅先で出会った人や景色を自然と取り入れているのかもしれません。パリの道を歩いているオシャレな人やひらひらしたスカートをカッコ良く着こなしている人……。自分が憧れたり、真似したいと感じる女性像を反映している部分はあります。「NEROLI」の軸は、自分が着たいもの。それは、23歳で初めて服のディレクションをしたときから変わりません。そのうえで、女性の魅力を引き出すデザインを追求。デザイナーさんと生地から「何を作ろうか?」と相談することも多いです。
「NEROLI LABO」は、あらゆる成分を自分の肌で試して、トライ&エラーを繰り返した結果、生まれたプロダクト。今も新商品開発に向けて気になる成分を試しています。流行っているからといって100%安心とは限らないし、自分の肌に使ってみないと分からない。商品への責任も持ちたいので、そこは揺るぎなく、続けていきたいです。アパレルでもビューティでも大切にしたいのは、商品が生まれるまでの背景やストーリー。「流行っているから」、「売れそうだから」という視点ではなく、作り手の思いや熱量が伝わるプロダクトを生み出していきたいです。
『少数精鋭チームだからこその柔軟さやスピード感を重視』
モデル、ディレクター、実業家と肩書は複数ありますが、スイッチが切り替わることがなく、ずっと地続き。モデルとしてスキンケアイベントに招待していただいた際は、「どんな成分が注目されているんだろう」と市場の動きを感じることも多く、撮影現場も情報収集やインプットの場になっています。家でも会社のことを考えている時間がほとんど。それが楽しいし、逆に考えていない方が不安になるかも(笑)。
興味を持った成分があったら、忘れないうちにラボの担当者に連絡したり、定期便の方への施策を思いついたら、「どうかな?」とスタッフにシェアしたり。また、商品を管理している工場にも足を運んで、Face to Faceの関係性も心がけています。スピード感に加えて、“雑にならないこと”も信条。スタッフとのやりとりが煩雑になるとトラブルを招く可能性もあるから、相手に丁寧に取り組んで欲しいことは、自分も丁寧に対応します。
『お客様からのリアルな声がモチベーションに繋がる』
経営者という立場になり、予算や働くメンバーのことなど、商品以外の部分でも考えるべきことが増えました。より多角的な視点が求められることを痛感しています。その中でやりがいを感じるのは、受注会やポップアップでお客様に喜んでいただけたとき。直接、商品の説明をさせてもらったり、肌悩みを持っていた方から「使い始めて、コンディションが良くなりました」とお話しいただけると、自分以外の悩みも解決できたことを実感して、続けてきて良かった、と思います。
インスタに届くみなさんのお悩みやコメントもモチベーションになるし、次の商品開発にも繋がります。手がけたアイテムが、自分のライフスタイルに直結しているのも原動力のひとつ。モデルでもディレクターでも感性を“表現すること”は同じ。“好き”をベースに妥協せずに作った「NEROLI」のアイテムは着ると気分がアガるし、「NEROLI LABO」でスキンケアする瞬間は私にとって究極の癒し。旅先でインスタ用の写真を撮る時間も楽しみのひとつです。
3月26日 都内スタジオ NEROLI LABO 打ち合わせ
今大切にしていることは リスペクトと丁寧さ。 そしてこれからのヴィジョン
起業して6年目を迎えた今年。本気で向き合うからこそ直面した課題とこれからの展望を聞きました。
『リスペクトの気持ちを持ってチーム力を高めていきたい』
起業して6年、新たな課題にも向き合っています。特に難しいのはチームづくり。今までは自分とデザイナーさん、ラボやOEMの担当の方とのやりとりでものづくりが進んでいましたが、今後の事業拡大を見据えると、一緒に働くメンバーが欠かせません。なので最近は、募集を行って、書類選考やオンライン面接といった採用活動にも力を入れています。これまでのキャリアで先輩らしい振舞いをしてきたことがなく、人に何かを教えるのは、ちょっと苦手。でも、スタッフ育成やマネジメントもきちんとできるように、他の経営者の方の仕事の進め方や考え方を勉強しているところです。ブランドのためにももっと商品に対峙する時間を増やしたいのが今の本音。任せるところは任せないといけないフェーズに入ってきたし、信頼できるメンバーを増やして、チーム力を高めていきたいです。より良い人間関係を築くためには、リスペクトし合える関係性が理想。それぞれ得意分野もあるし、できないことがあるのも当たり前。その中でも、お互いを尊重し合う気持ちがあれば、伝え方も受け取り方も変わってくる。それは、起業して改めて実感したことでもあります。
『ブランドの継続とともに経営者としての成長も目標』
ものづくりの表も裏も関係なくトータルで携われているのは、アーティストやモデル活動を通してさまざまな現場を経験したことが活きていると感じています。ヘアメイクさんと接する機会が多く、たくさんのプロダクトに触れてきたこと、数々の撮影現場でディレクションや進行を目の当たりにできたこと。すべてが繋がって今があります。今後のヴィジョンは、アパレルはこれまで通り、ファッション業界の型にハマらず、心から自分が着たいと思う嘘のない服を真摯に作り続けたいです。ビューティは私自身の知識を深めつつ、ブランドの認知拡大が目標。直接手に取っていただけるイベントもいろんな場所で開催できたらいいな、と。「NEROLI LABO」は、元々商品化を考えていなかったこともあり、美容成分をふんだんに使っていて、美容関係者の方から驚かれることもあるんです。経営目線では予算管理も求められますが、お金のかけどころを見極めて、製品に対しては贅沢に作っていきたい。自分の“好き”を貫きながら、経営者としても成長していきたいです。
撮影/水野美隆 モデル/藤井夏恋 ヘアメイク/森野友香子(Perle Management) 取材/坂本結香 編集/鍬守未希 再構成/Bravoworks,Inc.
※写真はすべてご本人からの提供です。
※CLASSY.2026年6月号「藤井夏恋さんの“好き”を仕事にする力」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。
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