三宅健さん(47歳)「弱さを見つめることも、一つの強さなのだと思います」【映画『RYUJI 竜二』】
TVバラエティ「学校へ行こう!」を観ては、名物コーナー「未成年の主張」や「B-RAPハイスクール」に大笑いし、時には涙した記憶がある人も多いはず。V6、そして三宅健さんは、STORY世代にとって、青春の時間を共に過ごした同級生のような存在。そんな三宅さんも47歳。アイドル、俳優、そして一人の表現者として歩みを重ねてきた彼が、映画『RYUJI 竜二』で挑んだのは、薬物依存によって人生の均衡を失っていく男、カズ。三宅さんが、これまでとは異なる姿の奥に見つめていたのは、善悪だけでは語れない人間の脆さと複雑さ――。役を通して考えた“人間の弱さ”の本質、そして人とのつながりについて聞いてみました。
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「描かれていない時間に」演ずる人物の人生を思って――
最初に台本を読んだとき、カズという人物を、薬物に溺れた男という一言では捉えたくありませんでした。
物語の中には描かれていないけれど、彼にも普通に笑っていた時間があって、竜二とは10代から一緒に過ごしてきた仲間。きっと馬鹿なこともたくさんして、喜びや痛みを分かち合い、いろんな時間を共有してきたんだと思います。僕自身にも、10代、20代を共に過ごしてきた仲間がいます。だからこそ、スクリーンには映らない二人の時間を想像することができました。
「壊れてしまった人」を演じるというより、「なぜこの人はここまで来てしまったんだろう」というところから考えたんです。彼がかつて持っていたものや、失ってきたものに思いを巡らせながら。
肉体的な表現も、その人物の人生を伝えるための一つの手段でした。健康な状態のカズを撮影してから、薬物依存が進んだ姿の撮影までは、実際には中3日しかなくて(笑)。物語の中では1か月後という設定だったので、短期間で体重を落としました。彼が置かれている状況や、内面に抱えるものが、身体の佇まいからも伝わればと思ったからです。
「弱さ」を見つめることは、人間の尊厳を見つめること
カズを演じながら考えていたのは、弱さそのものが人を壊してしまうのではなく、弱さを抱えたときに、誰とつながっていられるのかが大切なのかもしれない、ということでした。
僕自身にも、当然、弱さや脆さはあります。若い頃は、そうした部分を人に見せないことが強さだと思っていた時期もありました。でも、年齢を重ねた今は、自分の弱さを認められることも、一つの強さなのではないかと思うようになりました。
これまでの人生を振り返ってみても、人に救われてきた瞬間はたくさんあります。V6のメンバーをはじめ、10代、20代を共に過ごしてきた仲間とは、頻繁に会うわけではなくても、今でも心のどこかできっとつながっています。何年も会っていなくても、再会した瞬間に当時の関係性に戻れる人がいるんです。この仕事は、一つの作品が終わればチームはいったん解散しますし、ずっと同じ人と一緒にいるわけではありません。でも、同じ時間を過ごして、同じものを作ったという経験は、血のつながりとは違うけれど、その人との間にしか存在しないものを残してくれる。長い時間を共有してきたからこその、言葉にしなくても戻れる関係があります。
『RYUJI 竜二』に描かれている「兄弟」という関係にも、そういったものを感じました。同じ時間を共有してきた経験は、血縁とは異なる、もう一つの家族のような関係を生み出すのかもしれません。一方で、人と関わることの難しさや、他者との距離を感じることもあります。人には人を傷つける可能性も、人を救う可能性もある。その両面を知ることが大切なのだと思います。
KEN MIYAKE
1979年7月2日生まれ、神奈川県出身。歌手・俳優・アーティスト。1995年、V6のメンバーとしてCDデビュー。2021年のグループ解散後も、俳優、舞台、音楽など幅広く活動。2023年よりTOBE所属アーティストとしてソロ活動を展開。2026年には個人事務所aniijaを主体とした活動体制へ移行し、音楽、建築、芸術、日本文化を横断する「MUSEUM」構想を進めている。2026年10月31日から連続ドラマW『マイ・スイート・ホーム』が放送中。
今回、三宅さんが出演した映画は……
『RYUJI 竜二』
監督:水田伸生
出演:柳楽優弥
川栄李奈、萩原利久、JUNON
田中美里、RYUKI、千原ジュニア
三宅健、伊藤英明
昭和59年から平成2年にかけての、新宿・歌舞伎町。腕っぷしが強く情に厚い竜二(柳楽優弥)は、舎弟たちから慕われる男。愛するまり子(川栄李奈)と出会い、息子が生まれ、守るべき家族を得たことを機に、裏社会から足を洗うことを決意する。カタギとなった竜二は、酒屋の配達員として働き、慎ましくも穏やかな暮らしを手に入れたはずだった。しかし、薬物に溺れた兄弟分・カズ(三宅健)や、“もう一つの家族”でもある舎弟・直(萩原利久)、ひろし(JUNON)が、再び竜二の前に現れる。1983年、金子正次が主演・脚本を務めた伝説の映画『竜二』のリメイク作。10月30日(金)より全国公開
撮影/鏑木 穣(SIGNO) 取材・構成/河合由樹
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